食品工場の改善事例を紹介!現場の課題や改善点の見つけ方を解説
食品工場では、人手不足や生産性の低下、外国人材・新人の教育、衛生管理の徹底など、多岐にわたる課題への対応が求められています。しかし、改善には大規模な設備投資が必要だと考えている方も少なくありません。
実際には、作業台や動線の見直し、教育方法の工夫、紙帳票の電子化といった、比較的導入しやすい施策から着手できるケースも多くあります。
本記事では、食品工場が抱えやすい課題を整理したうえで、改善点を見つける方法と具体的な改善事例をご紹介します。自社の現場でどこから改善をはじめるべきかを検討する際の参考にしてください。
食品工場が抱える主な課題
食品工場では、人手不足や生産性の低下、外国人材への教育、衛生管理の徹底、原材料価格の高騰など、様々な課題への対応が求められています。これらの課題はそれぞれが独立しているわけではなく、相互に影響し合いながら現場の負担を増大させています。
食品工場が抱える主な課題は、以下のとおりです。
食品工場の課題についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
食品工場の改善点を見つける方法
食品工場の改善点を見つけるには、やみくもに現場を確認するのではなく、改善したいテーマを整理したうえで、様々な観点から課題を洗い出すことが重要です。主な方法は以下のとおりです。
・改善テーマを絞る
・従業員の声に耳を傾ける
・3Mの観点で観察する
・5Sの観点で現場を点検する
・安全・衛生面から改善点を探す
・作業手順書と実際の作業内容を照合する
なお、すぐに改善点が見つからない場合は、過去の改善記録を見直したり、日々の作業で気づいた問題点を記録して定期的に振り返ったりすることも有効です。
改善テーマを絞る
改善点を探す際は、まずどの観点から現場を確認するのかを決めることが重要です。「安全衛生」「作業効率」「5S」など、改善を探したいテーマをあらかじめ絞り込むことで、確認すべきポイントが明確になり、改善点を見つけやすくなります。
テーマが決まったら、それに応じて確認するポイントを設定しましょう。例えば「安全衛生」であれば危険な作業や衛生上の問題、「作業効率」であれば無駄な動きや不要な作業工程、「5S」であれば不要物や物の配置などが主な確認対象となります。
また、現場を確認しても改善点が見つからない場合は、過去の改善事例や作業中に記録した問題点、作業手順書などを見直すことも有効です。これらの資料を改めて確認することで、新たな改善につながる箇所が見えてくることもあります。
従業員の声に耳を傾ける
日々現場で作業する従業員の声には、管理者だけでは気づきにくい課題や改善点を見つけるためのヒントが数多く含まれています。
作業中に感じている負担や不便、危険に感じることなどを正確に把握するためには、日頃からコミュニケーションを図り、従業員が意見や提案を伝えやすい環境を整えることが大切です。
また、改善策を検討する際は、管理者だけで検討するのではなく、実際に現場で働く従業員を交えて話し合うことも重要です。日々の作業の実態をよく知る従業員の声を積極的に取り入れることが、より実効性の高い改善につながります。
3Mの観点で現場を観察する
3Mとは「ムリ」「ムダ」「ムラ」のことで、生産性を向上させるための改善点を見つける際の着眼点のひとつです。
ムリは人や設備の能力を上回る負荷がかかっている状態、ムダは不要な作業や待ち時間などが発生している状態、ムラは作業量や負荷などにばらつきがある状態をさします。
こうした観点から、人や設備の動き、待ち時間、作業量のばらつきなどを確認することが重要です。
3Mの観点から生産ラインを観察し、「探す」「歩く」「待つ」といった行為が必要以上に発生していないかを確認したうえで、削減・短縮できるものがないか検討するとよいでしょう。
5Sの観点で現場を点検する
5Sとは「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ(習慣)」の5つをさし、食品工場における一般衛生管理やHACCPに沿った衛生管理を適切に行ううえでも重要な取り組みです。現場巡回の際には、5Sの観点から現場を確認しましょう。
物の置き場所が定まっていない状態や、不要な物が放置されている状態は、作業者が物を探す時間の増加を招くだけでなく、作業上のミスや衛生・安全上の問題につながる可能性があります。巡回時にこうした状況を早期に発見し、改善につなげることが求められます。
5S活動を進める際は、まず必要なものと不要なものを分け、不要なものを処分する「整理」から着手するとよいでしょう。その次に、必要なものを所定の場所に置いてすぐに取り出せる状態にする「整頓」に取り組むことで、現場環境の改善を進めやすくなります。
5Sについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
安全・衛生面から改善点を探す
労働安全衛生の面から職場環境を見直す際は、まず過去のヒヤリ・ハットや労働災害の記録を振り返り、事故や危険事象が発生した工程・設備を確認することが重要です。
自社の記録だけでなく、厚生労働省が公開する同業種のヒヤリ・ハット事例も、危険箇所を特定する際の参考として活用できます。
食品工場では特に、濡れた床での転倒、機械や刃物による切り傷・擦り傷、無理な動作による身体への負担といったリスクがあります。こうした危険につながる作業や環境を洗い出し、改善につなげることが重要です。
危険箇所を特定した後は、設備や作業環境の改善にとどまらず、作業手順の見直しやルールの周知、従業員への教育など、多角的な対策を検討する必要があります。
ハード面とソフト面の両方から対策を講じることで、より実効性の高い安全対策につながります。
作業手順書と実際の作業内容を照合する
まず、現行の作業手順書(マニュアル)と実際の作業内容を照合し、手順や作業方法にズレがないかを確認しましょう。
手順書と現場の作業にズレがある場合は、手順書が現場の実態に即した内容になっているか、また手順に無理やムダがないかを確認し、ズレの原因を明らかにすることが重要です。
また、ベテラン作業者が手順書に記載されていない効率的な作業方法や独自のノウハウを持っているケースも少なくありません。そのような場合は、安全性や衛生面、品質への影響を十分に確認したうえで、支障がなければ標準化を図り、必要に応じて手順書に反映させることが求められます。
こうした取り組みによって、現場の知見を組織全体で共有・活用できるようになります。
食品工場の改善事例
食品工場における改善の取り組みは、現場の課題によってアプローチが異なります。特に重要なのは、「人手が足りない」と感じた時に、すぐに人員を増やすのではなく、現在の人員が何に時間を使っているのかを把握することです。
ここでは「作業台・動線の見直し」「教育・伝達方法の見直し」「記録のデジタル化・工程の自動化」の3つの観点に分けて改善事例を紹介します。
人手不足や教育体制の不備、記録業務の煩雑さなど、自社が抱える課題や現場の状況に応じて、どの観点から着手するかを検討してみてください。
作業台・動線を見直した改善事例
食品工場では、作業台の高さや配置、作業動線を見直すことで、身体的な負担や移動・作業のムダの削減につながります。ここでは、3つの事例を紹介します。
・作業台の高さ調整
豆菓子の加工・製造を行う食品工場では、床から45cmの位置に段ボールを置ける現場の行動に合わせた構造の作業台を作成しました。これにより、1日3,000〜5,000回発生していた腰を曲げる動作が0回となり、作業者への身体的負担が劇的に軽減されています。
・個別作業台への変更
カップサラダを製造する食品工場では、共用作業台を個別作業台に変更し、材料容器を傾斜配置にしました。その結果、1品完成までの時間が約1/3に短縮され、原材料ロスやクレームの減少にもつながっています。
・レイアウト・動線の見直し
袋詰め工程とシール工程が離れていた食品工場では、シール機を袋入れ作業者の近くに配置して工程を連結しました。これにより、包装作業を3人から2人で行えるようになり、生産性が50%向上しています。
教育・伝達方法を見直した改善事例
食品工場では、動画マニュアルの活用によって、新人教育の効率化や外国籍従業員への情報伝達の改善につながった事例が報告されています。ここでは、2つの事例を紹介します。
・動画マニュアルの導入
ソフトクリームを製造する食品工場では、紙マニュアルから動画マニュアルへの切り替えを実施しました。その結果、新人研修にかかる工数が1/10まで削減され、教育担当者の稼働時間も従来の2時間からわずか10分にまで短縮されています。さらに、担当者ごとに生じていた説明のニュアンスや細かな作業方法の違いも統一され、正しい内容を新人に伝えやすい環境が整いました。
・多言語対応マニュアルの整備
コンビニエンスストア向け食品を製造する工場では、多言語対応の動画マニュアルを導入した事例があります。この取り組みによって、マニュアルの作成時間を75%削減するとともに、外国籍従業員に対して正確な内容を伝えられるようになりました。言語の壁を超えた情報伝達の実現は、現場の品質維持にも大きく貢献しています。
記録・自動化による改善事例
食品工場では、紙帳票の電子化や生産工程の自動化によって、記録業務の効率化や生産性向上につなげた事例があります。ここでは、2つの事例を紹介します。
・紙帳票の電子化
調味料を製造する食品工場では、手書きの紙帳簿からタブレット入力に切り替えたことで、入力ミスの削減とチェック工数の大幅な削減を実現しました。さらに、年間65,000枚もの記録用紙が不要になるという成果も得られています。
・生産工程の自動化
ほたてフライを製造する食品工場では、熟練者が手作業で行っていた工程を機械化したことで、生産性が向上しました。一方で、熟練者の手作業によって保たれていた品質が自動化後に低下するという課題も生じており、現在は機械メーカーと連携した品質改善に取り組んでいます。
食品工場の課題解決に向けた施策・ヒントを知りたいなら「食品工場 Week(旧称:フードテック Week )」へ
食品工場の課題を解決するには、まず自社の現場が抱える課題や改善点を把握し、その上で自社に適した改善策を検討することが重要です。食品工場における課題の解決策や対策のヒントを知りたいなら、ぜひ「食品工場 Week(旧称:フードテック Week)」へご来場ください。
食品工場 Week(旧称:フードテック Week)は、食品工場が抱える様々な課題を解決するための技術・サービス・情報が一堂に出展する展示会です。食品工場の生産性向上や品質管理に直結する、自動化・DX関連ソリューションが集結しています。
また、併催セミナーでは食品業界のトレンドや他社の取り組み事例、最新技術を学ぶことができ、自社の課題解決に向けた具体的なヒントを得る場としても役立ちます。展示会への入場は、事前登録をすれば無料で可能です。
関連サービスや製品を扱う企業であれば、出展側として参加することも可能です。自社製品の認知度向上の場として活用できるほか、食品メーカーの工場関係者と直接つながる貴重な機会にもなります。来場者と直接話せるため、具体的かつ効果的な商談につながるでしょう。
来場側、出展側双方にメリットがあるため、ぜひこの機会に食品工場 Week(旧称:フードテック Week)へ足をお運びください。
■ 第7回 食品工場 Week(旧称:フードテック Week )東京
2026年11月18日(水)~20日(金)開催
> 食品工場 Week 東京の詳細を見る
■ 食品工場 Week を構成する展示会/フェア
・食品工場の自動化・DX展(フードテックジャパン)
・食品安全・衛生イノベーション展
・食の資源循環・環境対応フェア
・食品工場の安全対策・環境改善フェア
・食品の冷凍・冷蔵技術フェア
食品工場の改善事例を参考に自社の課題解決につなげよう
食品工場の改善を進めるうえでは、まず自社が抱える課題を明確にすることが重要です。従業員の声に耳を傾けながら、3Mや5S、安全衛生の観点、作業手順書と実際の作業内容とのズレなど、様々な切り口から改善点を洗い出していきましょう。
実際の食品工場では、作業台や動線の見直しによる身体的負担の軽減、作業時間の削減、動画マニュアルを活用した教育の効率化、紙帳票の電子化による記録業務の効率化、生産工程の自動化による生産性の向上など、課題に応じた様々な改善が行われています。こうした事例は、自社の取り組みを検討する際の参考になるでしょう。
ただし、他社の改善事例をそのまま自社に適用しようとすると、設備や人員体制、作業工程、予算などの違いによって、期待した効果が得られないケースも少なくありません。他社事例はあくまでヒントとして活用しながら、自社の実情に合った改善方法を丁寧に検討することが大切です。
自社に合った改善策や新たな技術・サービスをお探しの場合は、食品工場 Week(旧称:フードテック Week)を活用するのも有効な方法です。食品工場の自動化・DX、安全・衛生、作業環境改善などに関する製品・サービスを確認できるため、自社の課題解決につながる具体的なヒントを得やすい展示会となっています。
■ 第7回 食品工場 Week(旧称:フードテック Week )東京
2026年11月18日(水)~20日(金)開催
> 食品工場 Week 東京の詳細を見る
■ 食品工場 Week を構成する展示会/フェア
・食品工場の自動化・DX展(フードテックジャパン)
・食品安全・衛生イノベーション展
・食の資源循環・環境対応フェア
・食品工場の安全対策・環境改善フェア
・食品の冷凍・冷蔵技術フェア
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▶監修:宮崎 政喜(みやざき まさき)
エムズファクトリー合同会社 代表 / 料理人兼フードコンサルタント
出身は岐阜県、10代続く農家のせがれとして生まれ、現在東京在住。プロの料理人であり食品加工のスペシャリスト。また中小企業への経営指導、食の専門家講師も務めるフードコンサルタントでもある。飲食店舗・加工施設の開業支援は200店舗以上。料理人としてはイタリア トスカーナ州2星店『ristorante DA CAINO』出身。 昨今、市町村や各機関からの依頼にて道の駅やアンテナショップも数多く手掛ける。今まで開発してきた食品は1000品目を超え、商品企画、レシピ開発、製造指導、販路開拓まで支援を日々実施している。
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