飲食店の売上アップを目指すアイデア17選!すぐ実施できる方法や注意点も解説

飲食店の経営で、売上を伸ばしていくことは重要です。外食業界全体としてはコロナ禍で沈んだ売上が回復しつつあるものの、業態によっては未だに戻りきらない状況であり、頭を抱える経営者の方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、飲食店の売上アップを目指す時の考え方や、具体的なアイデアを紹介します。知っておくべき注意点も解説するので、売上を伸ばす具体的な策を探している企業の方は参考にしてください。




飲食店の売上は「客数×客単価」で決まる

飲食店の売上は「客数×客単価」で計算でき、客数は「新規顧客数」と「リピーター数」に分けて考えることができます。

売上高を伸ばすには、まず現状を分析し、「新規顧客数」「リピーター数」「客単価」のどこに課題があるかを明確にすることが重要です。

課題を把握せずに施策を立てても、効果的な売上アップにはつながりません。例えば、常に満席が続いている状態で新規顧客を増やす施策を打っても、売上が大きく変わることはありません。


「売上」と「営業利益」は異なる

飲食店の経営では、売上を伸ばすことだけでなく営業利益を意識することも重要です。実際に手元に残るのは、売上から原価や販管費を差し引いた営業利益だからです。

営業利益を増やすためには、単に売上を伸ばすだけでなくコストを管理することも欠かせません。

販管費(販売費および一般管理費)は、商品を作るために直接かかる費用以外の間接的な経費を指します。例えば、以下のような項目が含まれます。

主な販管費の例

  • 人件費
  • 家賃
  • 水道光熱費
  • キャッシュレス決済手数料
  • 販売促進費
  • 減価償却費
  • 包装資材費

売上が増えても、それ以上にコストがかかってしまうと利益が減る可能性があります。売上を伸ばす施策と並行して、コストを適切にコントロールすることが重要です。


飲食店の売上アップアイデア17選

ここからは、「新規顧客の数」「リピーター数」「客単価」の観点で、飲食店の売上アップにつながるアイデアを紹介します。

なお、売上を伸ばすためにはマーケティングを理解することが大切です。飲食におけるマーケティングについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

▶関連記事:飲食店のマーケティングが重要な理由は?効果や具体的な施策・成功事例を紹介


新規顧客を増やす|売上アップアイデア11選

まずは新規顧客数を増やすためのアイデアを11個紹介します。

  1. SNSを活用して情報発信をする
  2. チラシを配布する
  3. メニューを見直す
  4. Googleビジネスプロフィールを管理・運用する
  5. オンライン予約システムを導入する
  6. テイクアウトやデリバリーを導入する
  7. 営業時間を変更する
  8. 看板や外装を見直す
  9. 行政および民間企業とコラボレーションを企画する
  10. 催事やマルシェに出店する
  11. 地域同業店を利用する

新規顧客を増やすには、認知度を高めた上で「行ってみたい」「利用してみたい」と思ってもらうことがポイントです。ターゲットを明確にしてコンセプトを作り、該当の客層に刺さる施策を検討しましょう。

なお、客数は「席数×回転率」で計算できます。そのため、満席が続いている場合は、回転率を上げる施策を打つことも重要です。

集客を増やす方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。

▶関連記事:飲食店の集客方法を紹介!失敗しないポイントや事例、注意点まで徹底解説

▶関連記事:効果的な集客方法をターゲット別に紹介!メリット・デメリットも解説

1.SNSを活用して情報発信をする

SNSを用いると、これまでお店を知らなかった客層にもアプローチできます。InstagramやXなどは無料でアカウントを作成できるため、積極的に活用してみましょう。

SNSを運用する際は、ルールを決めて定期的に投稿を続けることが大切です。お店の世界観やコンセプト、アピールしたいメニューが伝わる写真・動画などを積極的に発信し、ブランディングにつなげましょう。

Instagramの活用方法についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:【飲食店向け】初心者でもわかる!インスタ投稿の仕方や効果的な使い方、活用メリットを解説

2.チラシを配布する

チラシの配布は、顧客と直接コミュニケーションを取る方法として有効です。クーポンを付けることで、来店のきっかけを作ることもできます。

また、チラシの配布時期を季節のイベントと連動させると、より高い効果が期待できます。

チラシはポスティングの他、店舗周辺での配布や地域情報誌への折り込みなど、様々な方法で配布できるため、目的に応じて組み合わせるのがおすすめです。

3.メニューを見直す

メニューの見直しは、来店のきっかけを生み出し、客層を広げる効果があります。例えば、ドリンク中心のカフェが食事メニューを増やすことでランチ需要に対応でき、客層が広がる可能性があります。

ただし、売上だけを基準に判断するのは避けましょう。売上が低いメニューでも、原価が低ければ店舗の利益に貢献している可能性があるためです。

また、ターゲットを広げるために、必ずしも新しいメニューを開発する必要はありません。既存のメニューに少し工夫を加えるだけでも、新しい客層を引き込むことができます。

  • 辛い料理に、辛さを選択できるオプションを追加する
  • 量を調整できるメニューを導入する

これらの方法は、調理時間をそれほど増やさず新しい客層を呼び込めるでしょう。

4.Googleビジネスプロフィールを管理・運用する

Googleビジネスプロフィールを登録すると、Googleマップ経由で集客が可能になります。

現在は、口コミを参考に店を選んだり、来店前に確認したりする人が多いため、Googleビジネスプロフィールの活用は有効な集客方法のひとつです。口コミを集める工夫を行い、お店の最新情報や写真を定期的に投稿することで、より多くの集客につながるでしょう。

また、Googleマップの検索結果でお店が上位表示されると、より多くの人に見つけてもらえます。Googleマップの検索で上位表示を狙う対策「MEO」もあわせて実施することをおすすめします。

MEO対策についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:MEO対策の費用相場はどのくらい?外注先選びのポイントと料金を抑えるコツを解説

5.オンライン予約システムを導入する

オンライン上で手軽に席を確保できるようになると、電話での予約を面倒に感じる人にも利用してもらいやすくなります。また、予約管理の業務効率が向上し、スタッフの負担軽減や人的コストの削減にもつながります。

6.テイクアウトやデリバリーを導入する

店舗の席数には限界がありますが、テイクアウトやデリバリーを活用すれば、店内が満席でも売上拡大が見込めます。コロナ禍以降、デリバリーやテイクアウトへのニーズが高まっているため、新しい客層を獲得するチャンスにもなります。

導入する場合はオペレーションを最適化し、できるだけ少ない人員で対応できる仕組みを整えることが重要です。

7.営業時間を変更する

深夜営業やランチ営業など、営業時間を変えることによって新たな客層を獲得できる可能性があります。

しかし、単に営業時間を延ばすだけでは期待する効果が得られない場合もあります。まずは、ターゲットとする客層が来店しやすい時間帯を十分にリサーチし、その結果をもとに営業時間を調整しましょう。

また、時間帯ごとにターゲットを変え、それに合わせたメニューを作成することも効果的です。

8.看板や外装を見直す

飲食店に飛び込みで入る人は多いため、通りかかった顧客の目を引く工夫も大切です。看板や外装、のぼりを見直し、お店の魅力がしっかり伝わるようにしましょう。

お店のコンセプトをわかりやすく伝えるには、ターゲットや伝えたい印象を意識し、色・デザイン・フォントなどを選ぶことが大切です。

9.行政および民間企業とコラボレーションを企画する

地方自治体が主催する祭り・イベントへの参加や、民間企業とのコラボレーションは、新規顧客を増やす効果的な方法のひとつです。

例えば、祭りやイベントでは、地元の特産品を使ったコラボメニューやふるさと返礼品の提供が考えられます。観光協会と提携し、観光客向けの食事プランを提供したり、観光パンフレット・観光案内所で店舗を紹介したりする方法も有効です。

一方、民間企業との連携では、近隣企業の従業員に向けたランチ割引や、地元企業の商品(地元のビールやスイーツなど)をメニューに取り入れるタイアップ企画などで、新たな客層へのアプローチが期待できます。

10.催事やマルシェに出店する

催事やマルシェに出店することで、顧客と直接交流し、商品の魅力を伝える場を作ることができます。待ちの商売から迎えにいく商売ができるのです。こだわりや使用材料について直接説明することで、新規顧客を獲得するチャンスが広がるでしょう。

顧客のリアルな声は、メニューやサービスを見直すヒントになります。

11.地域同業店を利用する

近隣の飲食店と共同で回遊性を高める取り組みを実施することで、客層のシェアが可能です。例えば、A店で食事したレシートをB店に持参すると割引が適用される方法などがあります。

また、コラボイベントとして地域のカフェやバーと共同で料理教室やペアリングイベント(例:カクテル×フード)を開催する方法も有効です。

その他、他店の商品を取り扱った特別セットの提供や複数店舗を回るスタンプラリーの実施なども方法として挙げられます。競合ではなく「共創」にするのがポイントです。

ターゲットや商品が重ならない店舗を選んでお互いに補完関係を築くことで、地域全体の集客力を高めることにもつながるでしょう。


リピーターを増やす|売上アップアイデア4選

新規顧客が増えても、リピーターを増やせなければ安定した売上にはつながりません。リピーターを増やすには、また通いたくなる仕組みづくりを意識しましょう。

ここでは、リピートにつながるアイデアを4つ紹介します。

1.期間限定メニューや裏メニューを開発する

期間限定メニューの導入は、その期間に来店したり限定メニューが変わるたびに食べに行ったりする動機になります。

また、常連向け裏メニューを作るのもおすすめです。利用回数が多くなると注文できるメニューがあれば、通い続ける理由になるでしょう。

2.クーポンやポイントカードを作る

クーポンやポイントカードも再来店の動機になります。例えば、リピーター向けに以下のようなクーポンが考えられます。

  • 誕生月に一品サービス
  • 次回利用で割引

ポイントカードを作る場合は、ポイントが貯まる条件・難易度をうまく調節することが大切です。紙だけでなく店舗のアプリやSNSを活用する方法もあるので、店舗の客層にあわせた方法を検討してみてください。

3.LINE公式のアカウントを活用する

LINE公式アカウントを活用して初来店時に登録を促すことで、顧客とのつながりを作りましょう。期間限定商品やキャンペーン情報をLINEから定期的に配信すれば、再来店を促す効果が期待できます。

さらに、ショップカードを組み込んだり、LINE上で問い合わせを受けたりすることで、顧客にとっても便利なサービスを提供でき、満足度の向上にもつながります。

LINE公式アカウントの具体的な使い方を知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。

▶関連記事:LINE公式アカウントの作り方!登録手順・料金や設定すべき機能を解説

4.顧客との信頼関係を構築する

スタッフと顧客の関係性を重視して信頼関係を構築することは、リピーターの増加や顧客満足度の向上につながります。

例えば、ホールスタッフを可能な限り曜日で固定した場合、同じ曜日に訪れる顧客がスタッフと顔なじみになり、親近感を持ちやすくなります。スタッフが顧客のニーズや好みを把握できれば、サービスがスムーズになり「○○さんがいるから来る」という理由で来店する顧客も増えるでしょう。

この仕組みを整えることで、「行きつけの店」として地域に根付いたビジネス展開が期待できます。


客単価を上げる|売上アップアイデア2選

客単価を上げれば、客数を変えずに売上が伸ばせます。ただし、価格を上げるだけでは客足が離れる原因になるので、ターゲットとコンやプトを見直したり、注文を増やしたくなる仕掛けを作ったりすることが大切です。

ここでは2つのアイデアを紹介します。

1.メニューを工夫する|セットメニュー・サブメニュー・オプション

メニューを工夫することで、一人あたりの注文数を増やし、客単価の向上を図ることができます。具体的には以下のような策があります。

2.注文しやすい環境を整備する

追加オーダーを促進するためには、注文のしやすさが重要です。注文したくてもメニューが手元になかったり、店員に声をかけにくかったりすると、機会損失につながります。

注文しやすくするためには、端末やスマホを使ったセルフオーダーシステムを導入したり接客フロー見直したりするとよいでしょう。


飲食店の利益アップを目指すならコスト削減も重要

飲食店の利益を伸ばすには、売上アップだけでなくコスト削減も重要です。コスト削減につながる主なアイデアは以下のとおりです。

  • 仕入れ価格を下げる
  • 家賃交渉をする
  • オペレーションの見直し

材料費を下げられると、大幅なコストダウンになります。複数社から見積もりを取りつつ交渉することで既存業者の価格を下げられる可能性もあるので、検討してみましょう。

また、家賃交渉ができれば固定費を下げられます。近隣の物件に対して金額が高いと感じたなら、契約更新時に交渉してみる価値があります。

さらに、ツールのデジタル化や業務効率化が成功すれば、少ない人手で効率よく回せるため、人件費を下げられます。オペレーションを見直し、作業を減らせる部分はないか検討してみましょう。



飲食店が売上アップの施策を打つ時の注意点

売上アップを目指すためにやみくもに施策を打つのは、効果が薄いためおすすめしません。以下では、売上アップを目指す上で注意したいポイントを解説します。

  • 現状の課題を把握し、コンセプトやターゲットを明確にしておく
  • 長く使えるアイデアを優先する
  • 安易に割引や値上げをしない
  • 効果測定を実施して改善を繰り返す

現状の課題を把握し、コンセプトやターゲットを明確にしておく

最初に店舗の課題がどこにあるか明確にすることが重要です。例えば、満席が続いている状態で新規顧客を呼び込む施策を打っても、効果は見込めません。

まずは、現状の課題がどこにあり、何を解決すれば売上が伸びるのかを考えましょう。

また、お店のコンセプトやターゲットを明確にすることも大切です。ここが不明確なままだと、方針にズレが生じて既存の顧客が離れたり、魅力が伝わらず新規顧客を獲得しにくくなったりする可能性が高まります。


長く使えるアイデアを優先する

短期間で終わるアイデアより、長く使えるアイデアから優先して実施するのがおすすめです。短期間のアイデアの場合、実施するたびに時間や費用がかかるためです。

繰り返し使えるアイデアや、長く効果が続きそうな施策から優先的に行いましょう。


安易に割引や値上げをしない

値引きやクーポンを発行すると、顧客は増えやすいものの利益率は下がります。反対に、値上げすると単価は上がりますが、リピーターが離れていくリスクがあります。

価格の変更は顧客数や単価にダイレクトに影響し、内容によっては逆効果になることもあるため、顧客数と利益にどのような影響があるかを考えて実施を決めることが大切です。

物価上昇などの場合は、顧客に受け入れられやすい価格転嫁の方法を考えてみましょう。


効果測定を実施して改善を繰り返す

施策を打ってそのままにしていては、次につながりません。売上がどの程度伸びたのか、期待以下の結果だった場合は、何が原因かを考えることが大切です。

施策を打った後は必ず効果を確認し、改善点を考えてから次の打ち手を決めると結果を残しやすくなります。



飲食店の売上アップを目指すなら「レストランマネジメントEXPO」へ

飲食店の売上アップに向けた有益な情報を収集したい方は、展示会への参加がおすすめです。「レストランマネジメントEXPO」は、飲食店の経営や店舗管理の悩み・課題を解決するサービス・情報が集まる展示会です。

会場内は「売上/集客UPゾーン」「人材育成・定着・採用ゾーン」「働き方改革ゾーン」に分かれており、ニーズに応じた展示をご覧いただけます。新規顧客獲得に向けた集客や、その他の経営課題を解決するヒントが掴めるでしょう。

なお、来場だけでなく出展者側として参加することにもメリットがあります。デジタル化やIT活用に関心がある飲食チェーンとその場で商談ができる他、多くの飲食店経営者が来場するため、案件の獲得につながります。

また、飲食店の自動化・DXに特化した展示会「スマートレストランEXPO」も同時開催されます。人手不足の解消や人件費の削減、回転率アップなどの課題を抱えている方は、ぜひご覧ください。

来場、出展ともにメリットがあるので、ぜひ参加をご検討ください。

■レストランマネジメントEXPO 2025
 会期:2025年12月3日(水)〜5日(金)
 会場:幕張メッセ

詳細はこちら

■スマートレストランEXPO 2025
 会期:2025年12月3日(水)~5日(金)
 会場:幕張メッセ

詳細はこちら



課題に合わせた施策を実施して飲食店の売上アップにつなげよう

飲食店の売上を伸ばすには、まず「新規顧客数」「リピーター数」「客単価」のなかから現状の課題を見つけることが大切です。その上で、課題にあった施策を打っていきましょう。

また、利益を上げるには、売上だけでなくコストを削減する方法もあります。闇雲に施策を打っても効果は薄いため、状況にあわせて方法を選ぶことが大切です。

飲食店の売上アップ施策や実施手順を具体的に考えたい方は、ぜひ「レストランマネジメントEXPO」や「スマートレストランEXPO」へ足をお運びください。

■レストランマネジメントEXPO 2025
 会期:2025年12月3日(水)~5日(金)
 会場:幕張メッセ

詳細はこちら

■スマートレストランEXPO 2025
 会期:2025年12月3日(水)~5日(金)
 会場:幕張メッセ

詳細はこちら



▶監修:宮崎 政喜(みやざき まさき)

エムズファクトリー合同会社 代表 / 料理人兼フードコンサルタント

出身は岐阜県、10代続く農家のせがれとして生まれ、現在東京在住。プロの料理人であり食品加工のスペシャリスト。また中小企業への経営指導、食の専門家講師も務めるフードコンサルタントでもある。飲食店舗・加工施設の開業支援は200店舗以上。料理人としてはイタリアトスカーナ州2星店『ristorante DA CAINO』出身。昨今、市町村や各機関からの依頼にて道の駅やアンテナショップも数多く手掛ける。今まで開発してきた食品は1000品目を越え、商品企画、レシピ開発、製造指導、販路開拓まで支援を日々実施している。



▼この記事をSNSでシェアする


■関連する記事