外観検査とは?必要性や検査項目・方法、効率化させる手法を解説

外観検査は、消費者に安全な商品を届ける上で欠かせない工程です。外観検査は高い精度で行う必要がありますが、人手不足や設備の導入コストの問題で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、外観検査の概要や目的、検査項目やメリット・デメリットを紹介します。自動化設備を導入し、成果を上げている企業の事例もあわせて紹介するので、外観検査の効率化、自動化を検討している企業の方はぜひ参考にしてください。



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外観検査とは?

外観検査とは、製品や部品の外観を目視や機械を使って検査し、傷、汚れ、欠け、不良な加工状態などの異常を確認する品質管理の工程をさします。

製造業、食品・飲料業界、化粧品業界など、多くの業界で実施されている検査です。


製造工程で外観検査を行う目的

外観検査の目的は以下のとおりです。

  • 製品の品質を保証するため
  • 製品の品質を維持するため
  • 製品の品質を向上させるため

製品の品質を保証するため

外観検査は、製品や部品の見た目に関する欠陥を発見し、基準に適合しているかどうかを確認する工程です。傷や汚れ、変色、異物混入などの不良がある製品を出荷してクレームや返品が発生することを防ぎます。

外観検査の徹底は、顧客に安心して使用してもらえる製品の提供、品質保証の役割を果たします。

異物混入については以下の記事で紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

▶関連記事:異物混入対策とは?食品工場・製造現場の事例と原因を解説


製品の品質を維持するため

外観検査は、製造工程で生じる不良を早期に検出し、品質を一定以上に保つ役割を担います。外観検査で問題の原因を特定できれば、事前に必要な対策を講じて不良の発生を未然に防ぐことが可能です。

品質の高い製品の安定供給が可能となり、顧客満足度の維持や企業の信頼性向上につながります。


製品の品質を向上させるため

外観検査によって不良の原因を分析し、製造プロセスや設備・手法の改善に活用できます。不良品の発生傾向を把握できれば、工程の見直しや新たな技術導入が促進され、製品の全体的な品質向上が期待できます。

より高品質な製品の提供が可能になり、市場での評価向上につなげられるでしょう。


外観検査の検査項目(食品製造業の場合)

検査項目は業種や製造物によって異なります。形状やサイズ、色、傷、付着物、異物などが業界共通の一般的な検査項目です。

例えば、食品製造業の具体的な検査項目には、以下の内容が挙げられます。

消費期限や賞味期限、アレルギー表示の誤りや異物混入は、消費者の健康被害を引き起こす恐れがあり、食品事故につながります。食品の回収や調査に多大なコストがかかるだけでなく、企業のブランドイメージが低下する可能性もあります。

そのため、安全な商品を提供するには、自社製品に適した検査項目を設定するとともに、HACCP(ハサップ、危険有害分析重要管理点)の導入も重要です。HACCPは、食品の製造・加工・流通の各工程で潜在的な危険性を分析・管理し、食品の安全性を体系的に確保する手法であり、信頼性向上にも役立ちます。

HACCPについて、詳しくは以下の記事をご確認ください。

▶関連記事:HACCP(ハサップ)とは?概要や対象事業者、メリットと注意点をわかりやすく紹介



外観検査で用いられる手法

外観検査で用いられる主な検査方法・手法の種類は以下のとおりです。

  • 目視検査
  • 専用装置や画像処理技術を活用した自動検査
  • AIを活用した検査

それぞれの内容やメリット・デメリットを詳しく紹介します。


目視検査

目視検査とは、検査員が自分の目で製品や部品の表面状態を直接確認する方法をさします。目視検査は専用の機械や自動化されたシステムを使用せず、人間の感覚を活用して不良品を特定する点が大きな特徴です。

目視検査を含む人間の五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)で検査する方法を「官能検査」とよびます。人間の感覚を使用して検査を行うため、特別な設備を用意するコストがかかりません。

機械には難しい精度の高い検査が行える点は、目視検査のメリットです。一方、機械を使用するより時間がかかる点やヒューマンエラーが発生する可能性がある点は、目視検査のデメリットです。


専用装置や画像処理技術を活用した自動検査

自動検査とは、専用検査装置や画像センサを用いて行われる検査です。

専用検査装置を用いた検査では、あらかじめ検査に必要な基準(正常値の範囲)を設定します。設定された内容に基づいて検査が行われるため、精度の高さやばらつきがない点がメリットです。一方、イニシャルコストの高さや汎用性の低さはデメリットです。

汎用性の高い装置には、画像処理技術を用いた検査が挙げられます。例えば、画像センサは設計の変更や仕様変更にも対応しやすく、様々な商品の検査に用いることができます。


AIを活用した検査

AI(人工知能)を活用して外観検査を行う方法もあります。一般的な装置(機械)を使った検査とは異なり、学習データに基づいた人間の官能検査に近い検査が可能な点が大きなメリットです。

検査を経るごとにデータを蓄積して学習するため、精度改善や業務効率化など、検査に関する課題解決にも貢献します。さらに、間接的にコスト面や人手不足など企業の経営課題解決にもつながる検査方法です。

一方、AIがどのような基準で欠陥を検出しているのかが明確に理解できない点や導入コストがかかる点、精度の高い検査にはデータの蓄積が必要になる点などはデメリットです。



外観検査における検査方式の種類

検査対象や実施方式による外観検査の分類は以下のとおりです。

  • 抜き取り検査
  • 全数検査
  • インライン検査・オフライン検査

それぞれの内容を以下で詳しく紹介します。


抜き取り検査

抜き取り検査とは、生産された製品や部品の一部をサンプルとして選び出し、外観検査を行う方法です。メリットは、検査数が限られているため検査にかかるコストや手間を削減できる点や、全数検査では難しい細かな検査を行える点です。

ただし、全ての製品に検査が行われないため、品質が完全に保証されるわけではありません。不良品のリスクを抑えられるよう、製造工程に適した検査方法やロット・サンプル数の決め方を検討することが大切です。


全数検査

全数検査とは、生産された全ての製品や部品を対象に、品質検査を行う方法をさします。品質が人命に関わるなどの理由から、不良品が許されない製品に採用される検査方法です。例えば、医療機器や車・飛行機の部品などに適しています。

検査方法の精度が高ければ、不良品の発生確率をゼロに近付けられる点が全数検査のメリットです。一方、検査にかかる時間的・経済的コストが高いため、利益の少ない商品や数量が多い製品には適していません。


インライン検査・オフライン検査

抜き取り検査や全数検査の他、検査の手法にインライン検査とオフライン検査があります。

インライン検査とは、製品が加工や組み立ての工程を進めるプロセスのなかで行う外観検査をさします。一方、オフライン検査は、製品が製造ラインを離れた後に、別の専用的な施設やスペースで行われる外観検査です。

インライン検査とオフライン検査にはそれぞれメリット・デメリットがあります。具体例を挙げると以下のとおりです。

インライン検査は製造工程のなかでリアルタイムに検査が行われるため、万が一不良品が見つかった場合、即座に対応が可能です。ただし、精度の高い検査を行う場合、設備の導入に相応のコストがかかります。

オフライン検査では、一般的に専門的な検査が行われます。機械や手作業により精度が高く詳細な検査が可能で、不良品が発生する原因の追求やトラブルの根本解決も期待できます。

ただし、製造ラインから製品を取り出して検査を行うため、抜き取り検査に依存する傾向にあり、全数検査には向いていません。抜き取り検査は不良品を見逃すリスクがある点がデメリットです。



外観検査を行う流れ・手順

外観検査の流れや手順は業界・業種によって異なりますが、一般的な外観検査の流れは以下のとおりです。

  1. 検査項目と検査基準を定義する
  2. 検査方法を決定する
  3. 検査担当者を決める
  4. 検査実施後は分析と改善を行う

検査項目と検査基準を定義する

外観検査を行う前に、まず検査項目と検査基準の明確な定義が重要です。検査項目は業界や業種、製品によって異なりますが、主に傷、汚れ、ひび割れ、塗装ムラ、変色などが検査項目に含まれます。

また、項目に対する「検査基準」も設定します。検査基準は、不良の許容範囲を決定する指標です。例えば「傷は〇mm以上の長さを不良とする」「色のムラは〇〇の範囲内であれば許容する」などの具体的なルールを設けます。

基準は製品の使用目的や品質要求に応じた設定が大切です。検査基準を事前に定義することで、検査結果のばらつきを抑え、品質の安定化を図れます。


検査方法を決定する

検査方法は、主に「目視検査」「自動検査」「機器を使った検査」の3つから、製品の特性や検査項目に応じて選定します。

加えて、抜き取り検査か全数検査か、インライン検査かオフライン検査かなど、必要に応じて手法を選びます。精度やスピード、コストなど様々な面を考慮して選んだり、複数を組みあわせて行われたりするケースもあります。


検査担当者を決める

検査担当者を決める際は、検査基準や検査方法に精通した専門知識を持つ人を選ぶことが重要です。特に目視検査を行う場合は、経験豊富な担当者が求められます。AIや自動化装置を使用する際は、システムが適切に動作しているかを監視する担当者が必要です。

複数の工程に分けて検査する場合はチーム体制で管理し、適性を判断して人員配置を考えます。


検査実施後は分析と改善を行う

検査は5つの「みる」で行います。

検査では上記のサイクルを回し、分析と改善により品質の維持・向上を図りながら、最終的には不良品ゼロを目指します。



外観検査を自動化するメリット

外観検査を効率化するなら自動化がおすすめです。自動化のメリットは以下のとおりです。

  • 生産性が向上する
  • 検査の精度が高くなる
  • 人手不足の解消につながる
  • 検査時間を短縮できる
  • データを蓄積し改善に活用できる

外観検査を自動化すると、作業効率が飛躍的に向上します。人手による検査に比べて人員や時間、コストを大幅に削減可能です。専用の機械やAIの活用により、微細な不良や人間では見落としやすい欠陥も高精度に検出できるため、検査の品質も安定します。

検査データを自動的に収集・記録できれば、不良の傾向を分析しやすくなり、製造工程全体の改善にも役立つでしょう。検査員の経験やスキルに依存しないため、安定して高品質な製品の製造が可能になります。



外観検査を自動化するデメリット・課題

一方、外観検査の自動化はデメリット・課題もあります。具体的な内容は以下のとおりです。

  • 専門知識を有する人材が必要
  • 初期費用がかかる
  • 機器の不具合による誤検出が発生する可能性がある

外観検査の自動化は、初期導入コストや運用コストが高い点が大きなデメリットです。設備投資に予算をかけられない事業者には負担となるかもしれません。

また、自動化システムは特定の基準やパターンには強いものの、想定外の不良や複雑な判断が必要なケースでは、人間の目視検査に劣る場合があります。機械やシステムの不具合・故障により、誤検出が発生するリスクも考慮しなければなりません。

検査装置の導入時の設定や保守、メンテナンスも必要なため、導入前に専門知識を有した人材の確保も大切です。



外観検査でロボットやAIの自動化検査装置を導入した企業の事例

外観検査でロボットやAIの自動検査装置を導入した事例を紹介します。


冷凍商品工場の事例

冷凍食品を製造・販売している企業の事例です。食品工場で行われる異物や規格外商品を見つける出荷前検査では、長年「念のための廃棄」による良品の食品ロスや目視検査の限界、人手不足が課題となっていました。特に、チキン原料の「羽」や「血合い」の選別は、神経を使う重労働でありながら、判断ミスや個人差が避けられない状況でした。

そこで、大学と共同開発したAI搭載の自動検査装置を導入し、AIが即座に判定する仕組みを活用して、選別精度とスピードの大幅な向上、食品ロス削減、品質向上を実現しています。


豆腐メーカーの事例

豆腐を製造する食品メーカーの事例です。この企業では、AIを活用した自動検品システムを導入し、豆腐の割れや欠けを高速かつ高精度で判定する仕組みを実現しました。従来は熟練の作業員4名が1パックずつ目視で検査していましたが、新システムの導入により1パックの検査時間は約0.1秒に短縮され、人の約10倍のスピードで作業が可能になりました。

検品工程が管理者1名の体制で可能になり、労働負担の軽減と生産性の向上が実現した上、食品ロス削減にも成功した事例です。


ジャムメーカーの事例

ジャムやフルーツスプレッドを製造する食品メーカーの事例です。この企業では、AIと光学技術を組み合わせた自動検査システムを開発し、ジャムやフルーツスプレッド製造工程での異物の自動検出・除去を実現しました。

従来、充填前の検査は作業者が目視で行い、身体的負担や精度のばらつきが課題となっていましたが、システムにより効率化が図られました。


果物農家の事例

果物農業が基幹産業になる地域の事例です。フルーツ業界でも、AIによる自動フルーツ選別などが行われています。

例えば、リンゴ、メロン、柑橘類の品質検査では、AIが果物の外観をスキャンして傷やひび割れ、色ムラ、形状の異常、糖度を自動的に検査します。これにより人工的な選別作業を削減し、精度の高い選別が可能になりました。品質向上とともに食品ロスの削減も実現しています。

従来の目視検査と、AIのディープラーニング技術を活用した異物検出・専用装置での吸引除去を併用することで、精度の向上や作業負担の大幅軽減に成功した事例です。



食品製造における外観検査の自動化・効率化を検討するなら「フードテック Week」へ

外観検査は重要な工程ですが、全てを手動で行っていると人件費がかかり、生産スピードも落ちます。外観検査を効率化し、コスト削減を目指すなら自動化がおすすめです。外観検査を自動化するシステム・製品に興味があるなら、ぜひ「フードテックWeek」にご来場ください。

フードテックWeekとは、食品製造の自動化・DX技術や、食品衛生に関する最新ソリューションが出展する展示会です。外観検査をはじめとする、フードテック・食品衛生に関連する製品が出展します。IoT・AIソリューション、製造・検査装置など、外観検査に関わるシステムも出展するため、外観検査の効率化を検討している方は有益な情報収集が可能です。

同時開催される「食品衛生イノベーション展」は食品衛生に特化した専門展で、衛生管理・HACCP・外観検査など最新技術が一堂に出展します。食品衛生に関する製品の比較検討や最新のトレンドの把握が可能です。

展示会へは、事前登録をすれば無料で入場可能です。関連サービスや製品を扱う企業なら、出展側としての参加も可能なため、自社製品アピールの場や他社とつながる機会にもご活用いただけます。具体的な商談の実現・リード案件獲得につながる可能性があるので、ぜひ出展もご検討ください。

■フードテックWeek
 【大阪展】2025年2月25日(火)〜27日(木)/インテックス大阪
 【東京展】2025年12月3日(水)〜5日(金)/幕張メッセ



外観検査の精度向上にはデータの蓄積と分析が重要

外観検査とは製品や部品の外観を目視や機械を使って検査し、品質の保証・維持・向上を確保する工程です。人の五感を使って検査を行う目視検査や、機械を使った効率的な検査など、様々な検査方法があります。

近年では自動化装置やAIを使用した外観検査が行われるケースも少なくありません。AIは学習したデータにより、人の五感に近い精度での検査が期待できます。AIはデータの蓄積により精度が向上するため、早期の導入・運用が大切です。

外観検査の自動化に興味があるならぜひ「フードテックWeek」にご来場ください。IoT・AIソリューション、製造・検査装置など、外観検査に関わるシステムをはじめとする食品業界に関連するトレンドや有益な情報の収集が可能です。同時併催される「食品衛生イノベーション展」では、外観検査をはじめとする食品衛生に関する製品の比較検討が可能です。

来場側、出展側の双方にメリットがあるため、ぜひご検討ください。

■フードテックWeek
 【大阪展】2025年2月25日(火)〜27日(木)/インテックス大阪
 【東京展】2025年12月3日(水)〜5日(金)/幕張メッセ



▶監修:宮崎 政喜(みやざき まさき)

エムズファクトリー合同会社 代表 / 料理人兼フードコンサルタント

出身は岐阜県、10代続く農家のせがれとして生まれ、現在東京在住。プロの料理人であり食品加工のスペシャリスト。また中小企業への経営指導、食の専門家講師も務めるフードコンサルタントでもある。飲食店舗・加工施設の開業支援は200店舗以上。料理人としてはイタリアトスカーナ州2星店『ristorante DA CAINO』出身。昨今、市町村や各機関からの依頼にて道の駅やアンテナショップも数多く手掛ける。今まで開発してきた食品は1000品目を越え、商品企画、レシピ開発、製造指導、販路開拓まで支援を日々実施している。



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