人手不足で飲食店が回らない原因とは?解決策や活用したいシステムを紹介

飲食店の人手不足は近年深刻化しています。なかには、「人手不足が原因でお店が回らない」「スタッフがすぐに辞めてしまう」など、重大な問題を抱えている場合もあるでしょう。

本記事では、飲食店が人手不足で回らなくなる原因、具体的な解決策を解説します。人手不足を解消する商品やサービスも紹介するので、ぜひ参考にしてください。




飲食店の人手不足は深刻化している

厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概況」によると、全国の主要産業の平均欠員率は2.8%です※1※2。なかでも「宿泊業・飲食サービス業」の欠員率は6.1%と一番高く、他の産業に比べて人手不足であることがわかります。特にパートタイム労働者の欠員率は7.7%と深刻な状況です。

飲食店の人手不足は今後も慢性化する可能性が高いため、少ない人数でも問題なく回せるお店づくり、スタッフが辞めない環境を整えることが大切です。

※1欠員率とは常用労働者数に対して人員が足りずに募集している求人数の割合

※2出典:厚生労働省「令和5年上半期雇用動向調査結果の概況」


店が回らないほど飲食店が人手不足になる主な原因とは?

飲食店が人手不足で回らなくなってしまうのはなぜなのでしょうか。以下が主な原因として挙げられます。

  • 賃金が低い
  • 待遇に魅力が少ない
  • 人材が定着しにくい
  • 「忙しそう」という印象から人材が集まりにくい

それぞれ詳しく解説します。


賃金が低い

厚生労働省が発表した「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、一般労働者(短時間労働者以外の常用労働者)の平均月給は、男女計が318,300円、男性が350,900円、女性が262,600円です。

産業別の月給を見てみると、宿泊業・飲食サービス業は男女計で50〜54歳が最も高い293,200円、20〜24歳は206,500円、25〜29歳は230,000円です。全体的に平均よりも賃金が低いことがわかります。

業務内容に対する賃金の低さから、一度入ってもすぐに辞めてしまうケースも多く、人材が定着しにくい点が課題として挙げられます。特に、他業種と比較しても非正規社員の人手不足が深刻化しています。


待遇に魅力が少ない

飲食業は、長時間労働や深夜労働が発生しやすく、休みが取りにくいなど待遇に魅力を感じられないケースがあります。働く際に業務負担が多いと感じると、すぐに辞めてしまう人材も少なくありません。

人手不足の環境だと、どうしてもひとりにかかる負担は増えていきます。人がいないことで休憩を取りづらくなると、ストレスにもつながるでしょう。待遇が良くない上、クレーム対応や重労働でストレスを感じる機会が多いと、辞めたいと感じるスタッフも増えてしまいます。


人材が定着しにくい

人手不足で日々の営業を行うのに手一杯だと、せっかく雇用しても人材育成に時間を使えず、新人が育たない状況が続きます。きちんと指導してもらえないと、仕事に対して不安や疎外感を感じる場合も多く、離職につながってしまうでしょう。

人材を育てることが定着にもつながります。人手不足を解消するためには、責任者や指導を行うスタッフの業務内に、指導を行う時間をしっかり確保することもポイントです。


「忙しそう」という印象から人材が集まりにくい

飲食店は一人が担当する仕事量が多くなりやすく、一般的に立った状態で仕事を行うため、体力的にも負担がかかりやすい環境です。「飲食業は忙しい」「仕事が大変そう」というイメージから、アルバイトや仕事として飲食業を選ばない方もいるでしょう。

ランチやディナーの混雑時、利用した飲食店のスタッフが忙しそうにしている姿や、SNSで散見される飲食店の迷惑客の印象からマイナスイメージを持っている場合もあります。


人手不足の状態で店を回そうとするとどうなる?

人手不足の状態でお店を回そうとしても、当然お店はうまく回りません。人手が足りないと調理が追いつかず、提供時間がかかって顧客を待たせてしまうため、顧客満足度の低下につながるケースもあります。

また、ひとりのスタッフが担当する業務が増え、スタッフのモチベーション低下やストレスにつながってしまうでしょう。スタッフの負担が増えるとミスやクレームが発生しやすくなり、さらに顧客満足度の低下、リピート客の減少が起こるなど、負のループに陥る場合もあります。

人手不足の状態で店を回すことは避けるべきですが、人手不足をすぐ解消することが難しい場合もあるでしょう。

人手不足を解消するには、業務量を人数にあわせて調整したり、少ない人手でも店が回るようにシステムを構築したりするなどの工夫が必要です。後述する解決策や人手不足解消に役立つシステムをぜひ参考にしてください。



飲食店の人手不足を解消する解決策とは?

飲食店の人手不足を解消するためには、どのようなことをすれば良いのでしょうか。続いて、解決策として挙げられるものをいくつか紹介します。

  • 待遇や給与の見直し
  • ビジネスモデルの変換
  • SNSを使ったお店の魅力発信
  • デジタルツールの活用

それぞれ詳しく解説します。


待遇や給与の見直し

スタッフがストレスなく長期にわたって働けるよう、待遇や給与の見直しが大切です。業務量や業務内容に見合った給与かどうかを確認し、待遇面の改善ができないか検討しましょう。

また、評価を報酬に反映させるなど評価制度の見直しによって、従業員のモチベーション向上につながります。土日やゴールデンウィークなどの繁忙期は、特に休みが取りにくい傾向にあるため、土日にも休みやすい体制づくりやシフト管理を行いましょう。

飲食店の人手不足を解消するためには、新たな人材の採用も重要ですが、今いるスタッフがモチベーション高く働ける環境の整備も大切です。


ビジネスモデルの変換

長時間や給与を見直すためには、店の営業利益を上げる必要があります。営業利益を上げるために、売価の見直し、食材コストの適正化、無駄な仕込みや提供オペレーションの改善に取り組みましょう。同時に、業務効率化やビジネスモデルの変革も必要です。

飲食店の業務効率化についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:飲食店の業務効率化のポイントとは?オペレーション別に役立つツールと導入事例を紹介


SNSを使ったお店の魅力発信

どのような雰囲気のお店か、どんなスタッフがいるかを知るために、働く前にお店のSNSをチェックする方は多いです。そのため、新規でスタッフを雇用したい場合、お店の魅力をSNSで発信するのは有効な手段です。

SNSを活用して、スタッフや業務内容の紹介をして、働きたいと思ってもらえるようなアピールを行いましょう。新規雇用で飲食店の人手不足を解消したいなら、店で働いてみたいと思ってもらうことが大切です。

以下のような内容を発信してお店の魅力を伝えてみましょう。

  • 充実した制度や快適な職場環境
  • 昇進・キャリアアップの可能性
  • 身なりや価値観などの多様性

福利厚生や健康保険、しっかり仕事を覚えられる教育支援プログラム、シフトの変更が可能であることなど、職場環境のよさを伝えることで働く人にメリットを感じてもらえます。

スタッフが自分のスキルを向上させたり、キャリアを築く機会を提供したりできる勤め先であることを伝えることは、特に就活をはじめたばかりの学生には効果的です。

また、身なりや価値観などの多様性を尊重し、様々なバックグラウンドを持つ人々を受け入れることも大切です。SNSを活用してうまく伝えれば、店の価値を高められるでしょう。


デジタルツールの活用

人手不足を解消するための手段として、デジタルツールの活用があります。事務業務やレジ、発注システムなどのデジタル化で、人手が少なくても店舗が回るようになります。業務効率化により、スタッフの業務量を減らすことにもつながるでしょう。



ロボットやシステムの導入で飲食店の人手不足解消を目指す方法

人手不足によって店が回らないことに悩んでいるなら、飲食店の人手不足を解消する製品やシステムの導入も有効です。飲食店向けのデジタル技術を集めた展示会「スマートレストランEXPO」でご紹介しているなかから、具体的な導入例を挙げます。

  • お掃除ロボットの導入
  • 配膳ロボットの導入
  • シフト管理システムの導入
  • キャッシュレス決済の利用
  • レジやオーダーのセルフ化

お掃除ロボットの導入

人手不足で掃除にまで手が回らない場合は、お掃除ロボットを導入することで、店のクオリティを落とさずに綺麗な状態を維持できます。店が汚れている状況では、顧客満足度の低下にもつながってしまうため、早めの対策が必要です。

飲食店に導入しやすいお掃除ロボットから以下の例をご紹介します。

  • RACLEBO
  • RACLEBO slim
  • RACLEBO slim pro

アイグッズ株式会社が手がける業務用お掃除ロボットは上記の3種類があり、どれも専用アプリを使えば清掃ログの確認や清掃予約の設定が可能です。一回の充電でRACLEBOは150㎡程度、RACLEBO slimは120m²程度、RACLEBO slim proは90〜120m²程度の面積を自動で清掃します。

ステーションでは充電する他、ゴミや水を貯蓄ができるため、お手入れもしやすいでしょう。お掃除ロボットの導入を検討している場合は、ぜひチェックしてください。


配膳ロボットの導入

料理を席まで運ぶ配膳ロボットを導入する飲食店も増えています。障害物を回避できるようプログラムされており、安定して料理を運ぶことが可能です。スタッフはロボットに完成した料理を載せるだけで良いため、配膳にかかる負担を減らせます。

飲食店で活用できる配膳ロボットから以下のものをご紹介します。

  • DINERBOT T8(KEENON Robotics株式会社)
  • 配膳ロボット(株式会社USEN)

KEENON Robotics株式会社が手がける配膳・配送ロボット「DINERBOT T8」は、狭い場所でも通過しやすいスリムなボディで、2023年にはグッドデザイン賞を受賞しています。KEENONが開発したマップ構築システム「SLAM」を搭載しており、高い精度で障害物を回避できます。

株式会社USENが開発した配膳ロボットは、レストランや焼肉屋、ファミレスなど多数の飲食店で導入されています。デザインやトレイ数の異なる3種類を展開しており、猫型で集客効果も期待される「BellaBot」、前後から取り出し可能な「PuduBot2」、18.5インチのディスプレイを搭載した「KettyBot」などがあります。

配膳ロボットを導入すると、シフトが安定し人手不足解消が期待できます。スタッフは接客に集中できるため、より顧客満足度を高められるでしょう。

▶関連記事:飲食店の配膳ロボットとは?機能や導入のメリット・デメリットを解説


シフト管理システムの導入

時間も手間もかかるシフト管理をデジタル化すると、作成のコストやスタッフの負担を軽減できます。ミスも防げる上、急なシフトの変更などもデジタルシステム上で行うことが可能です。シフトを柔軟に変更できることで休みが取りやすくなり、スタッフの不満も解消されやすいでしょう。

以下シフト管理システムの例を挙げます。。

  • らくしふ(株式会社クロスビット)
  • はたLuck(株式会社HataLuck and Person)

株式会社クロスビットが手がける「らくしふ」は、予算や客数に応じて必要なスタッフを配置し、効率的なシフト管理が可能なシステムです。シフトの回収や共有はLINEで行うことができ、自動で作成しているシフトに反映されるため、シフト作成・管理にかかる工数を大幅に軽減できます。

株式会社HataLuck and Personが手がける「はたLuck」は、店舗のシフト管理や情報共有、エンゲージメントなどに役立つアプリです。シフトを効率的に作成するだけでなく、適正シフト機能を使えば店舗の状況に合わせた必要人員を設定でき、人手不足を防げます。

シフト管理システムやアプリを導入すると、その時々に必要な人員を確実に確保でき、シフトのミスが発生しにくくなります。シフト作成にかかる多大な時間や工数を削減できることで、スタッフの負担軽減、他業務への専念が可能になるなどのメリットがあります。


キャッシュレス決済の利用

現金よりも手早く決済ができるキャッシュレスを採用すると、会計業務の負担を減らせます。お釣りの管理不要、受け渡しのミスが発生しないため、スタッフの心的負担も軽減できるでしょう。

キャッシュレス決済アプリやシステムの一例をご紹介します。

  • モバイルPOS「ATEMS Mobile」(株式会社プラネット)

株式会社プラネットが手がけるモバイルPOS「ATEMS Mobile」は、移動販売などスペースが限られている店舗でも利用しやすいシステムです。モバイル決済端末にアプリを搭載しており、直感的な操作でキャッシュレス決済を行えます。持ち運びもしやすいため、イベント出店の際にも活用できます。

キャッシュレス決済を利用すると、全てデータで管理できるので、締め作業にかかる時間も減らせます。スタッフの業務量軽減につながる他、売上のチェックも素早く行える点が魅力です。

▶関連記事:POSレジとは?POSシステムとの違いや機能、導入メリットや選び方を解説


レジやオーダーのセルフ化

セルフレジやセルフオーダーなどのシステムを導入すると、スタッフの業務を軽減できます。タブレットによるセルフオーダーシステムなら、居酒屋などメニューが多い店舗でも導入可能です。

レジやオーダーをセルフ化できる以下システムを紹介します。

  • セルフレジ「ATEMS Food POSシステム」(株式会社 プラネット)
  • Rest(株式会社ハロー)

株式会社プラネットが手がけるセルフレジ「ATEMS Food POSシステム」は、同社のPOSシステム「ATEMS Food」のセルフレジです。お客さまが操作をするセルフレジは、店舗の省人化に役立ちます。決済手段も豊富なため、顧客の満足度向上にもつながるでしょう。

株式会社ハローが展開するオールインワンサービス「Rest」のセルフオーダーは、お客さまのスマホでQRコードを読み取って利用できるもので、人手不足解消につながります。同シリーズのPOSレジと併用して注文管理できるため、セルフオーダーに慣れていない客層が多い店舗でも導入しやすいでしょう。



飲食店の人手不足を解消したいなら「スマートレストランEXPO」へ

飲食店の人手不足が原因でお店が回らない状態だと、スタッフの離職、顧客満足度の低下など、お店にとってマイナスな方向に進んでしまいます。できるだけ早く人手不足を解消する工夫をしましょう。

飲食店の人手不足を解消したいなら、飲食店・レストランにおける人手不足の解決のヒントがつかめる「スマートレストランEXPO」への参加がおすすめです。スマートレストランEXPOは、飲食店の自動化・DXに特化した展示会で、最新製品の導入や情報収集を効率的に行えます。

前述した配膳ロボットやセルフレジ、シフト管理システムなどを手がける会社が多数出展しているため、飲食店の人手不足に悩む方にぴったりの展示会です。

また、飲食店の人手不足解消や業務効率化に役立つシステムや製品を手掛けている会社は、出展もおすすめです。自社製品アピールの場や商談の場としてもご活用いただけます。来場、出展ともにメリットがある展示会「スマートレストランEXPO」への参加をぜひ検討してください。

■スマートレストランEXPO
 2025年12月3日(水)~5日(金)

なお、人手不足を含め、経営や店舗管理に関する課題を解決したい方は、「レストランマネジメントEXPO」への参加がおすすめです。

レストランマネジメントEXPOの会場は、「バックオフィス支援ゾーン」「売上げ/集客UPゾーン」「リスクマネジメントゾーン」の3つの出展ゾーンに分かれています。店舗管理や集客などの課題に合った題材を見つけて足を運べば、店舗の悩みを効率よく解決できるかもしれません。

■レストランマネジメントEXPO
 2025年12月3日(水)~5日(金)
    詳細はこちら



人手不足を克服して飲食店を効率的に営業しよう

飲食店の人手不足は近年深刻化しています。人手不足の原因として、賃金や待遇への不満からスタッフが定着しない他、「飲食店は忙しくて大変そう」というイメージから新規人材が集まりにくい点も挙げられます。

待遇や給与を見直すことも大切ですが、人手不足を解消するためにロボットやデジタルシステムを導入するのもひとつの方法です。セルフレジや配膳ロボットの導入、シフト管理システムの導入などにより、スタッフの業務負担を軽減でき、働きやすい環境づくりに役立ちます。

飲食店の人手不足を解消したい、飲食店向けのデジタルシステムなどを導入したいと考えるなら、スマートレストランEXPOへのご来場をぜひご検討ください。

■スマートレストランEXPO
 2025年12月3日(水)~5日(金)
    詳細はこちら

■レストランマネジメントEXPO
 2025年12月3日(水)~5日(金)
    詳細はこちら



▶監修:宮崎 政喜(みやざき まさき)

エムズファクトリー合同会社 代表 / 料理人兼フードコンサルタント

出身は岐阜県、10代続く農家のせがれとして生まれ、現在東京在住。プロの料理人であり食品加工のスペシャリスト。また中小企業への経営指導、食の専門家講師も務めるフードコンサルタントでもある。飲食店舗・加工施設の開業支援は200店舗以上。料理人としてはイタリアトスカーナ州2星店『ristorante DA CAINO』出身。昨今、市町村や各機関からの依頼にて道の駅やアンテナショップも数多く手掛ける。今まで開発してきた食品は1000品目を越え、商品企画、レシピ開発、製造指導、販路開拓まで支援を日々実施している。



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