POSレジとは?POSシステムとの違いや機能、導入メリットや選び方を解説

飲食店や小売店では、スムーズな会計を行うために、先進的なシステムである「POSレジ」の導入が進んでいます。しかし、はじめてPOSレジを導入する企業にとって、システムの違いや導入コストは気になる要素です。

POSレジの導入は、飲食店が直面する「人手不足で従業員の負担が大きい」「在庫管理に時間がかかる」「データがなく経営戦略を立てにくい」などの課題解決につながります。

本記事では、POSレジの特徴やPOSシステムとの違い、主な機能、導入価格を比較し、POSレジの導入メリットや適切な選び方を解説します。



POSレジとは?

POSレジは、商品を販売した際の金銭のやり取りを記録・集計するシステムを備えたレジスタをさします。「POS」とは、「Point of Sale」の略称で、日本語では「販売時点情報管理」、つまり売上実績を単品単位で集計する役割があります。

従来のレジスタは、商品の価格や販売数を記録する金銭管理に特化していました。一方、POSレジは、商品名や価格、販売時間、場所、さらには顧客の年齢層や性別、天気、気温まで、あらゆる情報を収集・記録可能です。

現在、POSレジはコンビニエンスストアやスーパーマーケットで多く導入されており、あるインターネット調査によると、2019年の飲食店のPOSレジ導入率は約40%と、広く普及していることがわかります※。


POSレジとPOSシステムの違い

POSレジとPOSシステムは、同じ意味で使われることが多い言葉ですが、厳密には異なる意味を持ちます。

「POSレジ」とは、POSシステムの一部であり、「アプリケーションが搭載された店頭レジ」をさす用語です。

POSレジは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで使用されるターミナル型POSレジだけではなく、パソコン型POSレジやタブレット型POSレジなど様々な形態があり、企業や店舗のニーズに合わせた選択が可能です。

一方、「POSシステム」とは、店頭のシステムから本部のサーバー機能を含むアプリケーションやハードウェアの総称であり、「POSの仕組み」を表します。POSの仕組みとは、リアルタイムで売れた商品を記録し、商品情報をデータベース化して売上の分析を行うシステムです。


POSレジ・POSシステムが導入されている主な業界

POSレジやPOSシステムが導入されている主な業界を、実例とともに紹介します。

  • 小売店
  • 飲食店
  • 行政
  • ネイルサロン
  • クリニック
  • 動物病院

POSレジ・POSシステムは、ドラッグストアやスーパーマーケット、コンビニエンスストア、生花店、釣り具店などの小売店から、飲食店、病院など様々な業界で導入が進んでいます。

一部の役所では、セミセルフレジやキャッシュレス決済に対応しており、各種証明書の発行業務の効率化に役立ちます。

飲食店では、焼き鳥店の日本一ホールディングス株式会社、丸亀製麺、一風堂、ほっともっと(Hotto Motto)、コメダ珈琲店など、多くの有名店がPOSシステムを導入しています。また、コミックマーケットやフリーマーケットなど、イベント会場でPOSレジが設置される機会も多く見受けられます。



POSレジの種類と導入価格

POSレジは、店舗の規模や用途に応じて、主に3つの種類に分類されます。各タイプの導入価格目安を紹介します。

POSレジは種類によって導入価格も大きく異なります。本章では、POSレジの種類別に使い方やメリット、デメリットを詳しく解説します。


ターミナル型POSレジ

ターミナル型POSレジは、商品登録や商品スキャン、会計処理など、多機能を備えた高性能なPOSレジです。大規模なスーパーや小売店など、多くの企業で使用されています。

ターミナル型POSレジには、本体に専用ソフトウェアが組み込まれており、バーコードリーダーなど必要な装備が整うため、3種類のPOSレジのなかでも導入率が高いことが特徴です。

ターミナル型POSレジのメリット、デメリットは以下のとおりです。

ターミナル型POSレジは、業務に応じて様々なカスタマイズが可能な高性能なレジであるため、他のタイプと比べると価格相場は高めです。

また、システムが更新された場合にレジを置き換える必要があるため、月間のランニングコストは0~2万円、保守費用は年間5~20万円程度と、運用コストが高額になる傾向があります。


パソコン型POSレジ

パソコン型POSレジは、一般的なPCにPOS専用のソフトウェアをインストールしたタイプのレジです。パソコン型のPOSレジのメリット、デメリットは以下のとおりです。

パソコン型POSレジの月間のランニングコストは、5,000円~30,000円が目安であり、保守費用は年間0~5万程度で利用できます。


タブレット・モバイル型POSレジ

タブレット・モバイル型POSレジとは、タブレット端末やスマートフォンにPOSシステム用のアプリをインストールして、POSレジとして利用するものをさします。導入価格は0~30万円と、3種類のなかでも比較的安価で導入できます。

タブレット・モバイル型POSレジのメリット、デメリットは以下のとおりです。

多くのタブレット型POSレジアプリは、手持ちのスマートフォンにアプリを入れるだけで簡単に操作できます。

タブレット・モバイル型のPOSレジの月間ランニングコストは、0~3万円、保守費用は年間0~5万円が目安です。


POSレジの主な機能

POSレジは、従来のレジにはなかった豊富な機能を備えており、店舗運営や業務効率化に役立ちます。POSレジの主な機能を解説します。

  • 商品管理
  • 会計管理
  • 顧客管理
  • 売上分析
  • 勤怠管理
  • 複数店舗の管理
  • 自動釣銭機

ご紹介した機能のうち、主な機能である商品管理・会計管理・顧客管理・売上分析の4つの機能を詳しく解説します。


商品管理機能|在庫管理を効率化できる

POSレジの商品管理機能は、在庫が一定数以下になると自動的に通知する仕組みです。また、以下の機能も備えています。

  • 在庫履歴の記録
  • 発注・出荷履歴の管理

これらの機能によって、手作業による在庫管理のミスや在庫不足を未然に防ぎ、在庫管理の効率化を可能にします。

さらに、複数店舗を運営する場合は、POSレジの機能によって在庫の一元管理が可能です。商品の販売個数と在庫数をリアルタイムで共有する商品管理機能により、適切な在庫数を迅速に判断できます。


会計管理機能|人的ミスを削減できる

POSレジは、商品価格と数量を自動計算し、正確な売上を確定する会計管理機能を備えています。

会計管理機能により、手動で計算する際に起こりやすい人為的ミスを大幅に軽減し、会計処理の正確性が向上します。


顧客管理機能|スムーズな接客を可能にする

POSレジには、顧客の性別や年齢、来店人数、売上金額など、多様な顧客情報を一元管理する顧客管理機能が備わっています。顧客データを活用することで、ユーザーのニーズを把握し、再来店時にはスムーズな接客サービスが可能になります。

さらに、分析された顧客データは、ポイントの付与やダイレクトメールの送付など、マーケティング戦略に活用できます。情報を有効活用すれば、リピーターの増加や顧客の定着を促進し、結果的に顧客満足度の向上につながるでしょう。


売上分析機能|経営戦略に役立つ

POSレジには、以下のような様々な売上データを一括で分析できる売上分析機能があります。

  • 日別
  • 週別
  • 月別
  • 曜日別
  • 商品別
  • 時間帯別

売上分析機能を活用すると、売上や利益の改善に向けた経営戦略を効率的に立てられます。データを多角的に分析することで、店舗の売れ筋商品や売上のピークタイムを把握し、戦略的なビジネス展開が可能です。

また、「クラウド型のPOSレジ」を導入している場合、データはクラウドサーバー上に保存されるため、複数店舗の売上や顧客動向をリアルタイムで管理可能です。そのため、各店舗の売上データを比較し、全体的な経営戦略を効果的に立てるのに役立ちます。



POSレジを導入するメリット

POSレジの導入で、従来のレジにはなかった多くのメリットが得られます。特に飲食店では、以下の導入効果が期待できます。

  • 複数店舗管理で業務効率化が図れる
  • シフト管理の効率化
  • 人件費削減につながる
  • 顧客満足度を高められる
  • 食品ロスの削減につながる
  • 税務署への申告書類の作成がスムーズにできる

本章では、POSレジ導入の主要なメリットを解説します。


複数店舗管理で業務効率化が図れる

POSレジを導入すると、複数店舗の売上や予算、在庫管理などをシステム上で一元化し、業務効率化を実現できます。バーコードスキャンによる正確な会計処理や在庫管理により、従業員の教育や研修にかかる時間を短縮でき、欠品による機会損失や在庫過剰の抑制にも効果的です。

業務効率化の具体的な導入例として、クラウド型POSレジサービスを導入した「もうやんカレー」を運営する株式会社スターでは、複数店舗の売上データをリアルタイムで確認することで、売上状況を知るために店に足を運ぶ必要がなくなりました。

POSレジの導入により時間の節約が可能になり、効率的な経営に役立つ事例といえるでしょう。


シフト管理を効率化できる

POSレジを導入すると、複数人のシフトを一括で管理できるため、シフト管理の効率化が図れます。出退勤の記録や出勤日、出勤時間、さらに従業員ごとの時給設定などがシステム上で管理可能なため、特にアルバイトが多い飲食店で役立ちます。

例えば、POSレジの画面にタッチするだけで出退勤時刻が記録されると、従来のタイムカードが不要になります。そのため、シフト管理にかかる手間が大幅に軽減されると同時に、働き方改革で求められる正確な勤務管理にも対応できます。

また、給与管理ソフトとPOSレジの連携により、給与計算の自動化も可能です。手動計算によるヒューマンエラーを防ぎ、従業員の給与支払いの正確性と効率性を向上させます。

POSレジのシフト管理機能は、店舗運営の効率を高め、業務の負担を軽減する効果的なツールです。


人件費削減につながる

POSレジを使用して在庫管理や売上管理を自動化すると、少ない人数でも業務を効率的に回せるため、人件費削減につながります。POSレジの操作はシンプルで、初心者のスタッフでもスムーズに会計処理が可能であり、トレーニングにかかる時間やコストが削減できる点がメリットです。

また、POSシステムを使えば、来店が多い時間帯の把握が可能なため、必要以上の人員配置を防げます。結果的に、シフトの最適化を実現し、人件費の削減につながります。

東京、神奈川を中心に複数の飲食店を運営する「株式会社プレジャーカンパニー」のPOSレジ導入事例では、20~25%の人件費削減に成功しています。

さらに、オーダーをタッチパネル式に変更したことで、注文プロセスがスムーズになり、顧客単価が約15%向上しています。


顧客満足度を高められる

POSレジの導入は、会計やオーダーミスの削減に効果的で、スタッフのオペレーションを効率化します。オーダー処理にかかる時間が短縮されるため、スタッフはお客さまへのサービスにより多くの時間を充てられます。

お客さま満足度が高まると、結果的にリピーターの増加につながります。お客さまがリピートしてくれると顧客となり、顧客満足度が向上すれば、新規顧客の獲得や売上増加にも効果を発揮するでしょう。


食品ロスの削減にもつながる

農林水産省のデータによると、外食産業で発生する食品廃棄物の発生状況と主な要因は、下表のとおりです。

食品ロスは飲食業界が抱える深刻な課題であり、食品廃棄物を減らすためにPOSデータの活用が推奨されています。

特に飲食店ではPOSレジの活用により、在庫データを正確に把握し、過剰な食材の仕入れや仕込みすぎを防ぎます。また、POSレジの売上分析を活用すれば、メニューの人気度や時間ごとの需要が把握でき、食品在庫の最適化につながります。

食品ロスについてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

▶関連記事:食品ロスの現状は世界と日本でどう違う?原因や削減への取り組みを紹介


税務署への申告書類の作成がスムーズにできる

メーカーにもよりますが、なかには会計ソフトへデータを同期し、レジデータをExcelのCSVとして出力可能なものもあります。データをそのまま同期できれば、税務署への申告書類の作成がスムーズに進むでしょう。

また、軽減税率の設定やインボイス登録番号の記載も簡単に行えます。



POSレジの選び方

POSレジを選ぶ前に、まずはPOSレジを導入する目的を明確にしましょう。店舗によって求める機能が異なるため、会計の効率化や在庫管理、顧客管理、売上分析など、何を最も重要視するかによって必要な機能が変わります。

なお、POSレジを選ぶ時のポイントは以下のとおりです。

  • 店舗の規模や業態
  • 使いやすさ
  • サポート体制
  • 拡張機能
  • 外部システムとの連携

以下に、業界別におすすめの機能を表で紹介します。



【業態別】飲食店におすすめのPOSレジの選び方

POSレジを選ぶ際、店舗の規模や業態は重要なポイントです。特に飲食店では、オーダー管理や顧客対応、売上分析など業務の特性に合ったPOSレジを選ぶことが、効率的な運営と顧客満足度の向上につながります。

本章では、飲食店の業態別におすすめのPOSレジを解説します。


個人経営・小規模な飲食店向けのPOSレジ

個人経営の小規模な飲食店には、シンプルで使いやすいタブレット型POSレジがおすすめです。タブレット型POSレジは、初期費用を抑えられ導入しやすい点が特徴で、予算が限られる個人経営の店舗に最適です。

また、テーブル会計や注文管理が簡単で操作がシンプルであるため、スタッフのトレーニングにかかる時間を短縮できます。基本的な会計機能を搭載したタブレット型POSレジであれば、場所をとらずに設置可能です。

個人経営や小規模飲食店にとって、シンプルで導入しやすいタブレット型POSレジを選択すれば、店舗運営の効率化とコスト削減を実現できます。


複数店舗展開の飲食店向けのPOSレジ

複数店舗展開する飲食店では、来客数やメニューの種類が多いため、オーダー管理や業務効率化が重要な課題となります。そのため、オーダーエントリーシステムを備えたPOSレジがおすすめです。

オーダーエントリーシステムは、ホールスタッフがオーダーを受けてから厨房に伝達し、調理や配膳、会計までのプロセスを一括管理するシステムです。オーダー漏れや伝達ミスを防ぎ、料理の提供時間の短縮にもつながります。

また、POSレジ機能を活用すると、複数店舗の在庫の一元管理が可能なため、過剰在庫や仕込みすぎを防止でき、食品ロスの軽減にも役立ちます。


テイクアウト・キッチンカー向けのPOSレジ

テイクアウトやキッチンカーなどの移動販売では、スムーズな会計処理と効率的なオペレーションが重要です。POSレジを活用すれば、会計から商品の引き渡しまでを迅速に行い、お客さまの待ち時間を減らし、店舗の回転率を高める効果が期待できます。

また、キッチンカーなどの移動販売ではスペースが限られるため、コンパクトなタブレット型POSレジがおすすめです。車内の狭いスペースでも邪魔にならず、スピーディーに会計できます。

タブレット型POSレジは、カスタマイズ性にも優れており、店舗のニーズに合わせた柔軟な使い方が可能です。

なお、iPhoneをレジのような店頭の決済端末として使える機能の運用が日本で始まりました。近距離無線通信(NFC)を使い、来店客はタッチ決済対応のクレジットカードなどを店側のiPhoneにかざすだけで支払うことができます。



POSレジの導入を検討するなら「スマートレストランEXPO」へ

POSレジの導入を検討している方や実際の製品を体験しながら比較したい方には、「スマートレストランEXPO」へのご来場がおすすめです。

スマートレストランEXPOは、飲食店の自動化・DXに特化した展示会です。会場には、POSレジの他、最新ロボットやAI技術など、人手不足解消や業務効率化に関連する様々な製品・サービスを扱う企業が出展します。

最新のPOSレジや業務効率化ツールを実際に見てデモ体験が可能なので、ご自身の店舗に合ったシステムを選びやすくなるでしょう。

また、展示会には出展者としての参加も可能です。出展者として参加する場合は、実機のPRやデモンストレーションを行い、多くの来場者にアピールする絶好の機会となります。業務効率化を求める飲食店の経営者が多数来場するため、具体的な商談やビジネスのチャンスが広がるでしょう。

スマートレストランEXPOの詳細は、以下からご確認いただけます。



POSレジを導入して飲食店経営の効率化を

POSレジは、飲食店や小売店、行政など様々な業界で広く活用されています。

POSレジには、「ターミナル型」「パソコン型」「タブレット・モバイル型」の3タイプがあり、それぞれメリットとデメリットがあります。搭載機能や特徴も様々なので、導入を検討する際は、比較検討して店舗の規模やニーズに合わせた選択をしましょう。

POSレジは、使い方次第で飲食店の経営を劇的に変えるツールです。導入を検討している方は、ぜひ、スマートレストランEXPOで実機を体験し、店舗に合ったシステムを見つけてください。



▶監修:宮崎 政喜(みやざき まさき)

エムズファクトリー合同会社 代表 / 料理人兼フードコンサルタント

出身は岐阜県、10代続く農家のせがれとして生まれ、現在東京在住。プロの料理人であり食品加工のスペシャリスト。また中小企業への経営指導、食の専門家講師も務めるフードコンサルタントでもある。飲食店舗・加工施設の開業支援は200店舗以上。料理人としてはイタリア トスカーナ州2星店『ristorante DA CAINO』出身。 昨今、市町村や各機関からの依頼にて道の駅やアンテナショップも数多く手掛ける。今まで開発してきた食品は1000品目を越え、商品企画、レシピ開発、製造指導、販路開拓まで支援を日々実施している。



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