MRP(資材所要量計画)とは?生産管理のポイントやメリット・注意点を解説!

生産管理業務でコスト削減や効率化を目指す際、「MRP」というシステムを導入することがあります。MRPとは、在庫管理業務や発注管理業務を効率化させるシステムのひとつです。

MRPという言葉は聞いたことがあっても、詳細や他のシステムとの違いを正確に理解できていない方もいるかもしれません。

本記事ではMRPの仕組みやメリット・注意点、混同されやすいMRP2、ERP、JITとの違いを解説します。

生産管理システムの導入には時間や手間がかかるため、検討している場合は適切な情報収集と実践が大切です。生産管理を効率化し、競争力の向上を目指している方はぜひ参考にしてください。



MRP(資材所要量計画)とは?

MRPとは「Material Requirements Planning System」の略で、資材所要量計画を意味します。主に在庫管理の分野で使われる用語で、部品や材料など、「必要なものを」「必要な時に」「必要なだけ」購買・製造するための計画をMRPと表現します。

MRPは、生産計画に基づいて必要資材を計算し、在庫状況を踏まえて発注時期を決定するなどして適正在庫を維持し、管理コストの抑制や生産業務の効率化を実現します。


MRPとMRP2・ERP・JITの違い

生産管理の分野では、MRPの他にも「MRP2」「ERP」「JIT」などのシステムがあります。対象範囲や目的は以下のように異なるため、区別できるように理解しておきましょう。

「MRP2」は、MRPで管理する材料や部品に加え、費用や人員、設備、物流までを対象とするシステムです。

「ERP」は、MRPやMRP2の範囲もカバーし、企業全体の業務プロセスの見直しや最適化を目的とした管理方式として、経営管理の中枢を担います。

「JIT」は、生産管理の効率化を目指す点ではMRPと同じです。しかし、MRPは適量の製品を予定通り製造するための調達の仕組みである一方、JITは生産現場での無駄を省き、在庫を最小限に抑えるために活用される点で目的が異なります。

活用する際は、商品の特徴や販売方法によってどの管理システムが適しているか判断しなければなりません。また、これらのシステムはお互い補完関係にあるため、組み合わせて活用される場合もあります。




MRPを使った生産管理のポイント

MRPに必要なものは、主に以下の3つです。

MRPを算出するための一般的なフローは、以下のとおりです。

  1. 過去の情報などから需要を予測する
  2. 予測した需要から生産計画を立てる
  3. 設計情報から部品構成表(BOM)を作成する
  4. 生産計画と部品構成表(BOM)から資材の使用量を算出する
  5. 算出した資材の使用量から、在庫量や発注済みの量を差し引く
  6. リードタイムを考慮して発注計画を立てる
  7. 資材を発注する

MRPは、導入するだけでうまく機能するわけではありません。重要なポイントは、精度の高いデータの提供です。需要の予測や生産計画、部品構成表(BOM)が間違っているとうまく機能しません。

MRPを上手に活用するためには、生産計画・設計仕様・リードタイム・発注ロット数などの変更情報を確実に反映できるよう、各フローで精度の高いデータ提供が重要です。

 



MRPを導入するメリット

MRPを導入するメリットは、以下のとおりです。

  • 在庫・仕掛品を適正に維持できる
  • 業務の効率化や生産性の向上につながる
  • コスト削減につながる

それぞれ以下で詳しく紹介します。


在庫・仕掛品を適正に維持できる

MRPの導入によって部材の所要量や購入(納入)時期を明確にすることで、適切な在庫・仕掛品(製造途中の製品)の管理及び、欠品の防止ができるようになります。

在庫や仕掛品は数が多すぎると管理コストが増え、少なすぎると欠品や在庫不足に陥ってしまいますが、適切な管理ができれば、管理コストを抑制し、同時に在庫回転率の向上を実現できるでしょう。


業務の効率化や生産性の向上につながる

MRP導入によって、人力で生産管理を行うよりも手間が省ける他、人的ミスの低減も期待できます。適切な在庫管理によって欠品・在庫不足などが減ると、工程の遅れも軽減されるでしょう。

結果として業務の効率化や生産性の向上につながり、納期厳守や品質維持が可能になります。


コスト削減につながる

一般的には短期間に発注を繰り返すと資材の調達コストが増大しますが、MRPの導入で計画的かつ効率的な発注ができるようになると、仕入れコストが最適化されます。

「部品の在庫不足が原因で生産ラインを一時的にとめる」などのトラブルも減り、生産工程上の無駄も省けるので、人的コストの削減も期待できるでしょう。

コスト削減に成功すると、原価も下がって競合よりも製品を安く提供でき、結果として競争力の向上にもつながります。



MRPを導入する際の注意点

MRPを導入するにあたって、以下の2点には注意が必要です。

  • 精度の高い生産計画や部品表が必要
  • リアルタイムの情報共有が必要不可欠

MRPを成功させるためにも内容をよく理解しておきましょう。


精度の高い生産計画や部品構成表(BOM)が必要

MRPは、データ(生産計画や部品構成表(BOM)など)によって資材の所要量を算出します。そのため、データの精度が低いと所要量の算出精度も低くなり、MRPを導入しても思うような結果につながらない可能性があります。

場合によっては、過剰発注や在庫不足、製造工程の乱れによって、管理コストや人件費増加の原因になるため注意が必要です。


リアルタイムの情報共有が必要不可欠

最初に策定したMRPが長期的にうまく機能しない可能性がある点にも注意が必要です。顧客ニーズや製造品仕様が変化すれば、MRPも見直す必要があります。

MRPを見直す際、各部門でリアルタイムの情報共有ができていないと、過剰発注や欠品などを招く原因となる可能性も考えられます。商品の設計情報や調達に関する情報(リードタイム、ロット数など)に変更が生じた場合は、各部門で確実な情報共有が必要です。

MRPの導入前には、効率的かつ柔軟性のある運用方法を検討し、リアルタイムの情報共有ができる体制を構築しておきましょう。



生産管理の効率化を目指すなら展示会参加もおすすめ

MRP以外にも生産管理の効率化を目指す方法は複数あります。

例えば、近年注目されている分野のひとつに「AI」があります。AIは「Artificial Intelligence」の略で、日本語で人工知能を意味します。

従来のシステムとAIの大きな違いは、過去のデータを分析して自己学習し、判断や推測の精度を高められる点です。

人為的なミスを減らせる、単純作業を任せられるなどの他、予測精度の向上によって業務の効率化と品質の向上が期待できるのはAIの大きなメリットです。

実際に、生産管理や品質検査などにAIを導入し、人件費の削減や生産効率の向上、人為的ミスの削減に成功している企業もあります。

ただし、AI技術の導入には手間やコストがかかります。また、すぐに結果が出ないこともあるため、継続的な運用を考えている場合は専門的な知識が必要となります。

生産管理の効率化に興味がある場合は、システムの導入前に鮮度の高い情報が収集できる場として、展示会への参加がおすすめです。

食品業界で生産管理の効率化を考えている場合は、ぜひ「フードテックジャパン」を活用してください。フードテックジャパンとは、食品製造に関する最新設備やソリューションが一堂に出展する展示会です。

展示会場では、工場の自動化を実現するロボットや、AI・IoTによる生産管理システムなどを体験できます。事前に来場登録すれば無料で入場でき、実際の製品を見て比較できる他、出展企業による製品技術セミナーも聴講可能です。

また、出展側として参加すると、導入意欲の高い企業と商談ができ、自社の製品を大いにアピールできるなどのメリットがあります。

生産管理に関する最新情報を収集し、食品業界で導入されているAI技術などを体験したい方は、ぜひフードテックジャパンにご来場ください。

フードテックジャパンの詳細は以下のとおりです。

フードテック ジャパン 東京
2024年11月20日(水)~22日(金)開催

フードテック ジャパン 大阪
2025年2月25日(火)~27日(木)開催



MRPを活用して生産管理を効率化しよう

「MRP」とは「資材所要量計画」を意味し、導入によりコスト削減や生産効率の向上が期待できるシステムです。

メリットを享受するためには精度の高い情報や生産計画が求められ、継続的に運用する場合は、ニーズの変化に合わせた調整が必要不可欠です。

MRPの他に、近年ではAIによる生産管理の効率化も注目を浴びています。AIには自己学習する特徴があるため、従来のシステムよりも大幅な業務効率化が期待できるでしょう。

AIなどの最新技術の導入には、専門的な知識や正しい情報の収集が大切です。「実際にMRP関連の製品を見たい、デモを体験したい」という場合は、ぜひ展示会への参加も検討してみてください。




▶監修:門脇 一彦(かどわき かずひこ)

岡山商科大学経営学部特任教授、キャリアセンター長
國學院大學経済学部兼任講師
1959年大阪市生まれ。神戸大学経営学研究科博士後期課程、博士(経営学)。大手空調企業で機器開発及び業務改革を実践後、ITコンサルタントを担い現在に至る。2021年より現職。経営戦略、技術管理、IT活用、医療サービスマネジメントなどを研究。



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