飲食店経営が難しい理由とは?成功のポイントや向いている人の特徴も紹介

「自分の店を持ちたい」「お客さまを喜ばせたい」など、飲食店経営に興味を持っている方は、その難しさや成功のポイントが気になるでしょう。

飲食店は開業率・廃業率ともに高く、入れ替わりが激しい業種です。

本記事では、飲食店の経営が難しいといわれる6つの理由と成功させるためのポイントを解説します。

飲食店経営が向いている人の特徴や開業までの流れ、必要な資格も紹介するため、飲食店経営で成功したいと考えている人はぜひ参考にしてください。



飲食店の経営が難しい6つの理由

飲食店業界は廃業率が高く、生き残るのが難しい業界と言われています。

中小企業庁が公表している業種別廃業率をみると、飲食サービス(宿泊業も含む)の廃業率は5.6%でした※。全ての業種のなかで最も高い廃業率ですが、どのような要因があるのでしょうか。

はじめに、飲食店の経営が難しい理由を解説します。

  1. 初期費用の負担が大きい
  2. 競合が多い
  3. 外的要因で売上が大きく変動する
  4. 人手不足に陥りやすい
  5. 長時間労働になりやすい傾向がある
  6. 利益率が低い

それぞれ、詳しくみていきましょう。


①初期費用の負担が大きい

飲食店を開業するためには、内装工事や厨房機器の購入など、以下のように様々な費用がかかります。

  • 店舗取得費
  • 内装工事費
  • 設備費
  • 厨房機器費
  • 什器・備品費
  • 決済機器
  •  ユニフォーム など

立地や厨房機器にこだわれば、相応の初期費用が必要です。

お店の立地や形態、規模などによって異なりますが、一般的に、飲食店の経営には1,000万円前後の初期費用がかかると言われています※。

日本政策金融公庫の調査によると、開業費用の平均は1,077万円でした。初期費用が大きくなれば、それだけ回収に期間がかかり、経営を続けるのが難しくなります※。

初期費用を抑えるために、居抜き物件や間借り営業を検討するのも手段のひとつです。


②競合が多い

飲食店は専門的な知識や技術がなくても参入しやすく、競合が多い傾向にあります。中小企業庁によると、飲食サービス(宿泊業も含む)の開業率は17.0%でした。他の業種と比べて圧倒的な高さです。

なお、飲食業界は競争が激しく、開業3年の廃業率は70~80%程度、開業10年の廃業率は90%以上とも言われています。お店を長く続けていくには、他のお店にはない独自性が求められます。


③外的要因で売上が大きく変動する

飲食店は、天候・気候などの外的要因に左右されやすく、売上が安定しにくい業種です。

悪天候が続いたり、急に気温が大きく変動したりすると、売上が激減する場合があります。例えば、温かい料理を売りたい冬に急激な気温上昇があると、売上は想定より下がってしまうでしょう。

また、飲食店は社会情勢にも左右されやすく、最近では新型コロナウイルス感染症による外出の自粛や感染対策による座席数の減少などで、大きな打撃を受けました。

日々の売上予測が難しいため在庫の過不足が起きやすく、品切れによる機会損失や廃棄ロスが増えれば、飲食店の経営を圧迫します。


④人手不足に陥りやすい

飲食店は、長時間労働になりやすいにもかかわらず給与水準が低いなどの理由から、人材の確保が難しい業種と言われています。

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、飲食店(宿泊業も含む)の賃金は257,4000円であり、全ての業種のなかで最も低い水準です※。

人手不足になると働いている従業員に負担がかかり、過重労働の要因となります。店舗がうまく回らなくなり、顧客満足度の低下や売上低迷にもつながるかもしれません。

この場合は、長時間労働の解消や給与の見直し、業務の効率化など、従業員の定着率を上げる取り組みが求められます。

飲食店の人手不足についてより詳しく知りたい人は、以下の記事もあわせてご覧ください。

▶関連記事:飲食店が人手不足になる理由とは?7つの原因ともたらす影響や解決策を解説


⑤長時間労働になりやすい傾向がある

飲食店では、営業時間外にも営業前の仕込みや営業終了後の片付け・売上集計などの業務が発生します。

朝から夜まで営業している、または深夜営業の飲食店も多く、長時間労働になるケースは少なくありません。また、飲食店は週末や連休が繁忙期となるため、従業員の方はなかなか休みを取れない場合もあるでしょう。

特に、経営者はシフト管理や新メニューの開発、SNS管理、在庫管理など業務が多く、一般的に労働時間が長くなります。

⑥利益率が低い

原材料費や人件費が高く、他の業種と比べて利益率が低くなりやすい点も、飲食店経営が難しいと言われる理由のひとつです。

経営を安定させるには、単に売上を上げるのではなく利益を生み出す仕組みをつくらなければなりません。目指すべき利益率の目安を知り、最初に利益目標を立てることが重要です。

日本政策金融公庫の調査によると、2021年度の飲食店(宿泊業も含む)の利益率は、4.5%(黒字かつ自己資本プラス企業平均)でした※。



飲食店の経営に向いている人

飲食店の経営に向いているのは、以下のような人です。

  • 計画性がある人
  • コミュニケーションをとるのが得意な人
  • 人を育てることが好きな人

飲食店経営は、料理が美味しければ成功するというわけではありません。成功させるためには、開業前にコンセプトを明確にし、市場調査や競合店の調査、集客方法などの計画を立てることが重要です。したがって、計画性がある人は飲食店経営に向いているでしょう。

また、飲食店の経営はコミュニケーションをとるのが得意な人にも適しています。飲食店は、お客さまと接する機会が多い業種です。積極的にコミュニケーションによってリピーターを獲得できれば、売上の安定につながるかもしれません。

飲食店にとって、人材育成は重要な課題のひとつです。従業員を育成し、サービスの質が高くなれば、顧客満足度や売上があがるでしょう。従業員のモチベーションが向上し、定着率アップにつながる可能性もあります。



飲食店の経営に必要な資格は?

飲食店を経営するには、主に以下2つの資格が必要です。

  • 食品衛生責任者
  • 防火管理者(一定の要件を満たす場合)

食品衛生責任者

飲食店を経営する際は、各店に1人「食品衛生責任者」を設置しなければなりません。

食品衛生責任者とは、その施設の衛生管理全般に関して責任を持つ者です。計6時間程度の食品衛生責任者養成講習会を受講すれば、食品衛生責任者の資格が得られます。

講習科目は、以下のとおりです。

  • 食品衛生学
  • 食品衛生法
  • 公衆衛生学

なお、調理師や栄養士、製菓衛生師の資格を持っている人は、講習会を受けなくても食品衛生責任者の資格要件を満たします。

 


防火管理者

飲食店は、収容人数が30人以上である場合、防火管理者を選任しなければなりません。

防火管理者とは、火災による被害を防止するために消防計画を作成し、防火管理を行う責任者のことです。「防火管理講習」を受講することで、防火管理者の資格を取得できます。

防火管理者には2種類あり、延べ床面積が300㎡以上の場合は「甲種防火管理者」、300㎡未満の場合は「乙種防火管理者」の講習を受講します。




飲食店の経営をはじめるまでの流れ

飲食店の経営の計画からオープンまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. コンセプトを明確にする
  2. 市場調査する
  3. 店を出す場所や物件を決める
  4. 事業計画書を作成する
  5. 店舗のデザインやレイアウトを決定する
  6. 外装・内装工事や設備の導入を実施する
  7. スタッフを募集・採用する
  8. 開店までに宣伝活動する
  9. プレオープンで営業のリハーサルを行う
  10. オープンする

まずは、誰にどんなメニューをどのように提供するのかを決定します。地域の人口や性別、年齢、最寄り駅の乗降客数や人口動線などを調査し、市場の特徴を把握しましょう。

競合店の調査をした上で、出店地・物件を決定したら、提供する商品などの具体的な方針を立て、資金計画や収支計画を含めた事業計画書を作成します。

また、外装・内装設備の導入やスタッフの採用に加え、許可申請や税務署関係、社会保険関係などの各種手続きも必要です。


飲食店の経営をはじめるまでに必要な手続き

お店のオープンまでに必要となるのは、主に以下の手続きです。

  • 保健所の営業許可手続き
  • 食品衛生責任者の設置
  • 開業届などの税務署に関わる申請
  • 社会保険に関する申請

飲食店を経営する際は、各都道府県の所轄保健所に営業許可申請をしなければなりません。営業許可の申請は、保健所の窓口、またはオンラインにて手続きが可能です。

個人で飲食店を経営する場合は、事業開始月から1ヶ月以内に「開業届」「青色申告承認申請書」「給与支払事務所等の開設届出書」などを所轄の税務署に提出する必要があります。法人の場合は、設立後2ヶ月以内に「法人設立届出書」などを提出します。

「個人経営で常時5人以上の従業員を雇用している事業所」または「法人企業で常時1人以上の従業員を雇用している事業所」は、健康保険、厚生年金保険への加入手続きも必要です。さらに、従業員を1人でも雇っていれば、雇用保険、労災保険へ加入しなければなりません。

届け出に漏れがないように、あらかじめ必要な手続きを確認しておきましょう。

 


飲食店の経営を成功させるポイント

飲食店経営を成功させるために知っておきたいポイントを解説します。

  • コンセプトを明確に決める
  • 人件費を抑える工夫をする

コンセプトを明確に決める

飲食店経営を成功させるには、最初にコンセプトを明確化させることが重要です。コンセプトが曖昧だと、メニューの内容や集客方法、提供方法、出店地なども決められません。

いかにコンセプトが固まっているかで、経営が成功するかが決まります。また、コンセプトを確立させることで「どのようなお店か」をお客さまに伝えられるため、他店との差別化も図れます。

コンセプトを決める時は、5W2Hに分けて考えましょう。

  • なぜ開業したいのか(Why)
  • 何を提供したいのか(What)
  • 誰に提供したいのか(Who)
  • どこでお店を開くのか(Where)
  • 何時から何時まで営業するのか(When)
  • 提供方法や集客方法はどうするのか(How)
  • いくらで提供するのか(How much)

人件費を抑える工夫をする

飲食店経営で利益を上げるために重要となるのが、人件費の削減です。

長時間労働や休日の少なさなどから、慢性的な人手不足に陥っている飲食店は少なくありません。お店を長く続けていくためには、以下のような人件費を抑える工夫をしましょう。

  • 研修によって従業員のスキルアップを図る
  • 業務フローを見直す
  • シフトを見直すなど

また、セルフレジやモバイルオーダー、配膳ロボットを導入するなど、デジタル技術を活用するのも手段のひとつです。

機材を導入するための初期費用は必要ですが、デジタル技術の活用によってシフトに入る従業員数を減らすことができれば、人手不足の解消と人件費の削減につながります。



飲食店の経営や店舗管理に関する情報収集は「レストランマネジメントEXPO」へ

飲食店経営にはいくつかの課題があるため、必要な知識を得た上で準備することが大切です。

まず何から始めればよいのか分からない方や、開業したものの経営がうまくいかないとお悩みの方は、まず情報収集からはじめましょう。展示会などで専門家の話を聞くことも選択肢のひとつです。

「レストランマネジメントEXPO」は、飲食店の経営や店舗管理の課題を解決するための展示会です。会場は、出展カテゴリー別に「バックオフィスゾーン」「集客支援ゾーン」「リスクマネジメントゾーン」の3つに分かれており、飲食店経営に役立つ情報を得ながら、様々な製品・サービスを比較検討できます。

なお、来場だけでなく出展者側として参加することにもメリットがあります。展示会には、飲食店の経営者やオーナーに加え、チェーン店の店舗管理や総務人事部門のマネージャーも来場するため、自社製品を大いにアピールでき、案件獲得に繋がります。

レストランマネジメントEXPOの詳細は以下のとおりです。

また、競争が激しい飲食店業界で生き残るには、利益を確保できるかどうかが重要です。飲食店の利益率がなかなか上がらない理由のひとつに、人手不足問題があります。人件費を抑えて収益を向上させたい場合は、デジタル技術の活用も検討しましょう。

「スマートレストランEXPO」は、飲食店の自動化・DXに特化した展示会です。会場には多数の企業様が新商品を出展するため、セルフレジやモバイルオーダー、バックオフィスを支援するシステム、調理機器、集客支援など、様々な技術を体験しながら比較検討し、飲食DX・スマート化の最新トレンドを知ることができます。

展示会は、WEBから事前登録をすれば無料で入場可能です。興味のある人はぜひご来場ください。

関連製品を扱う企業の方は、スマートレストランEXPOへ出展することで、課題を抱える飲食店とつながれるメリットがあるため、出展を検討してみてはいかがでしょうか。

スマートレストランEXPOの詳細は以下のとおりです。

スマートレストラン EXPO 東京
2024年11月20日(水)~22日(金)開催

スマートレストラン EXPO 大阪
2025年2月25日(火)~27日(木)開催



万全の準備で飲食店経営を成功へと導こう

飲食店は比較的参入しやすい業界ですが、廃業率が高く、生き残るのが難しいと言われています。飲食店経営を成功させるには、初期費用や人件費を抑え、利益を上げやすい仕組みをつくることが重要です。

飲食店の開業や経営課題の解決を目指すなら、必要な情報をしっかりと収集したうえで、計画を立てましょう。課題解決への糸口を見つけるためには、飲食業界の展示会へ参加することもひとつの選択肢です。

詳細は以下のとおりです。



▶監修:泉 明美(いずみ あけみ)

「これからの時代の飲食店マネジメント協会」コンサルタント
飲食チェーン2社の店舗開発(加盟者開発、物件開発)にて加盟者面談から新規出店までの業務全般を担当。FC店スーパーバイザー業務(12店舗)及び、直営店での店舗運営業務に携わる。その後、M&A仲介企業にて飲食店の店舗事業譲渡、店舗造作設備譲渡のアドバイザリー業務など行い、現在、既存、新規商業施設へのテナントリーシング、店舗、企業などのPR業務等に取り組む。



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