フードロス(食品ロス)の問題点とは?日本の現状や企業が取り組める対策を紹介

近年、「フードロス」や「食品ロス」の言葉を耳にする機会が多くあります。個人や企業で対策に取り組みたいと思っても、実際にどのような工夫をすれば良いかわからない方もいるでしょう。

ご家庭や食品メーカーの製造現場などで「フードロスを減らしたい」と思っているなら、まずはフードロスの定義や日本の現状を知り、フードロスの理解を深めることが大切です。

本記事では、フードロスの定義や日本の現状、具体的な問題点と対策をわかりやすく解説します。実際にフードロス低減に取り組む企業の施策も紹介するので、フードロスの取り組みに興味がある方はぜひ参考にしてください。



フードロス(食品ロス)とは?

食品ロスとは、本来であればまだ食べられるのに、何らかの理由で廃棄される食品のことで、日本では「食品ロス」のことを「フードロス」と表現することが多いです。そのため、本記事では、食品ロスとフードロスを同義語として使用します。

しかし、国連食糧農業機関による定義では、フードロスは「生産から流通までの段階で生じる食料の損失」をさし、フードウェイストが「小売や外食事業者と消費者によって生じる食料の損失」をさします。そのため、日本で使われているフードロスの定義と異なることを理解しておきましょう。

フードロスは日本国内のみならず国際社会で問題視されており、解決に向けた取り組みを推進する動きが高まっています。

平成27年に国際連合で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」にて、フードロス削減は国際目標として言及されました。2030年までに食品廃棄物(1人あたり)の量を半減させることを目標としています。

また、日本でも令和元年には、フードロス削減を目指した「食品ロス削減推進法」が施行されました。令和2年には食品ロス削減推進法に関する基本方針が閣議決定され、消費者や企業、地方自治体を含めた社会全体でフードロス削減へ取り組むことが推進されています。


日本のフードロス(食品ロス)の量

国際的な関心が高いフードロス問題ですが、日本ではどの程度発生しているのでしょうか。ここでは、農林水産省および環境省が発表した、日本のフードロス量を紹介します。

フードロスは、食品関連業者から発生する「事業系食品ロス」と、家庭から出る「家庭系食品ロス」に分けられ、総量を含めたそれぞれの発生量は以下のとおりです。

令和3年のフードロス量を日本人1人あたりに換算した場合、1年で約42kg、1日あたりだとお茶碗1杯分ほどの食品廃棄と同等の量に相当します。このように考えると、どれほどの食品が捨てられているかがイメージしやすいでしょう。



フードロス(食品ロス)が発生する原因

フードロスが発生する原因は、「事業系食品ロス」と「家庭系食品ロス」で異なります。それぞれ以下で詳しく紹介します。


事業系食品ロスの主な原因

令和3年度の事業系食品廃棄物等の総量は、1,670万トンです。そのうち、事業系食品ロスの量は前述のとおり279万トンにのぼります。

事業系食品ロスは、主に食品メーカーや飲食店、小売店で発生し、それぞれ以下の原因が考えられます。

フードロス523万トンのうち、家庭系食品ロスが244万トンで全体の47%に対し、事業系食品ロスは279万トンで全体の53%にあたります。事業系食品ロスを業態別で分けた割合は、以下のとおりです。

※出典:政府広報オンライン「今日からできる!家庭でできる食品ロス削減


家庭系食品ロスの主な原因

家庭系食品廃棄物等の総量は732万トンです。そのうち、可食部の廃棄となる家庭系食品ロスの量は、前述のとおり244万トンとされています。

家庭系食品ロスの主な原因として考えられるのは、以下のとおりです。

  • 食べ残し
  • 直接廃棄(手を付けなかった食品)
  • 過剰除去(可食部を取り過ぎる)

また、食べられる食品を捨てるのは、食べ残し以外にも様々な理由が挙げられます。消費者庁が平成29年に徳島県で実施した「食品ロス削減に関する実証事業」の結果を参照し、理由・割合を以下の表にまとめました。

なお、フードロスの原因につながる要因には、食品の買いすぎや作りすぎなど、習慣によるものだけではなく、体調不良による食べ残しやいただき物の余りなど、予測が難しいものも挙げられます。



フードロス(食品ロス)の問題点

フードロスが問題視されているのは、フードロスが発生することによって様々な悪影響が生じるためです。フードロスによって起こり得る問題点として、主に以下の3つが挙げられます。

  • 廃棄物処理に多額の費用がかかる
  • 環境汚染につながる
  • 貧困や食品不足に関わる

フードロスが上記の問題点にどうつながるのか、具体的に紹介します。


廃棄物処理に多額の費用がかかる

廃棄物を処理するためには多額の費用がかかりますが、そのうち事業者が支払う廃棄料で足りない分は、私たちの税金で賄われています。

環境省によると、令和元年のフードロスを含む一般ごみの処理費用のうち、税金で賄われた費用は2兆1,449億円※です。

この金額の全てがフードロスの処理費用ではありません。しかし、フードロスの増加によって、ごみの処理費用の増大につながり、国や国民の負担は増えることが懸念されます。


環境汚染につながる

フードロスとして飲食店や家庭から捨てられた食品は、多くが廃棄物処理場で焼却処分されます。福井県衛生環境研究センター「平成23年度版 環境白書(福井県)」によると、廃棄物の82%が燃やせるごみで、そのうち約46%が食品廃棄物です※。

ごみの焼却処分の過程で発生する二酸化炭素は、地球温暖化の原因のひとつです。そのため、フードロスの増加による食品廃棄物の増加は、地球温暖化が進む原因にもつながります。

また、焼却後の灰は埋め立て処分されますが、処理場近くの地下水汚染・水域汚染など、埋め立てによって環境負荷につながるのも懸念点です。

さらに、環境省によると、現在の整備状況のままだと、埋立地はおよそ20年で満杯になるとされています。このまま整備が進まない場合、20年後には廃棄物を埋められなくなるのも問題点でしょう。

このように、フードロスによる廃棄物の増加は様々な環境問題につながります。

※出典:福井県衛生環境研究センター「平成23年度版 環境白書(福井県)


貧困や食料不足に関わる

世界では約9人に1人が栄養不足で苦しんでいるとされており、日本では7人に1人の子どもが貧困で食事に困っています。一方、世界では大量のフードロスが発生しており、食料資源が有効に活用されない点が問題視されています。

そもそも日本は食料自給率が低く、多くの食料を輸入に頼る国です。輸入に頼る一方、多くのフードロスが発生しているのは、解決するべき問題でしょう。

今後、世界の人口は増え続け、2050年には今より17億人増加し、世界人口が約97億人に達すると見込まれます。このまま「食の不均衡」を解消しなければ、貧困や食料不足はさらに増えると考えられます。



企業が取り組めるフードロス(食品ロス)対策

世界が推進しているフードロス削減は、企業単位でも対策に取り組むことが大切です。企業や生産者ができるフードロス対策の例は、以下のとおりです。

  • 製造時にフードロスを発生させない工夫を行う
  • 規格外食品を有効活用する
  • 消費者の需要に応じた販売方法を考える
  • 調理ロスを生まず「食べきり運動」を促進する

それぞれ以下で説明します。


製造時にフードロスを発生させない工夫を行う

フードロス対策を考える際は、新たな活用法を見つける「リサイクル」より、そもそもフードロスを発生させないための「リデュース」を優先的に考えることが重要です。

具体例として挙げられるひとつ目は、賞味期限を年月日表示から年月表示へとする「大括り化」の採用です。

賞味期限が3ヶ月以上の商品は、消費者庁によって年月表示が認められています。 年月表示に変えることで、納品済みの商品よりも前の日付の賞味期限である商品を納品できない「日付の逆転」によるフードロスを減らせます。

ふたつ目の具体例は、保存容器の工夫です。保存容器に工夫をして、食品が酸素に触れにくい構造にすれば、開封後も長く使えます。また、内容物を1人前ごとに包装すると、消費者に作りすぎの防止を促すこともできるでしょう。


規格外食品を有効活用する

食品自体には問題はなく食べられるのに、「傷がついた」「形がいびつ」「容器が破損した」などの理由で市場に出せない商品は、規格外食品として有効活用できます。

  • 「訳あり品」として価格を下げて販売する
  • 加工食品の原材料として活用する 

「訳あり品」とは、その名のとおり傷や汚れなどの何かしらの理由で、通常より安く販売される商品です。訳あり品を販売できるのは実店舗だけではなく、近年では訳あり品を中心に取り扱う通販サイトもあるため、インターネット上での販売も可能です。

訳あり品として活用することで、生産者は損失を減らすことができ、消費者はお得な価格で購入できるため、双方にメリットがあるフードロス対策です。

また、加工食品の原材料として活用するのも有効な方法です。例えば、大きさや色、形などの見た目により規格外食品となった野菜・果物は、カット野菜・くだものとして販売したり、ジュースに加工したりして販売すると、フードロス削減につながります。


消費者の需要に応じた販売方法を考える

消費者の家族構成や、季節の需要にあわせて販売方法を考えるのも、フードロス対策のひとつです。

例えば、家族構成にあわせて購入数を調整しやすい小分け販売(バラ売り)や、季節にあわせて商品の仕入れを調整し、販売する方法が挙げられます。季節商品は時期が過ぎると需要が減少するため、予約販売限定にして売れ残りを避ける工夫も効果的です。

万が一売れ残った商品でも、セール品として販売すればフードロスを減らせるでしょう。

調理ロスを生まず「食べきり運動」を促進する

飲食店の場合は、調理する際と消費者に提供する際の両方で、それぞれ心掛けたいフードロス対策があります。

調理する際に発生した廃棄されやすい可食部(野菜の端部など)は、従業員のまかないとして利用できるかもしれません。美味しく食べられるよう調理して、商品のメニューに取り入れるのも工夫のひとつです。

消費者に対する工夫としては、食べ切れる量か判断できるメニュー表示を行ったり、消費者の要望にあわせた量を提供したりすることが挙げられます。その他、食べ切れなかった場合にテイクアウトできるよう、持ち帰り容器を用意するのも身近なフードロス対策です。



フードロス(食品ロス)に取り組む企業が行っている工夫の一例

実際に企業でフードロスに取り組む際は、競合他社や自社と似た商品を取り扱っている企業がすでに取り組んでいるフードロス対策が参考になります。

ここでは、食品メーカー・飲食店・小売店の3つの事例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

上記の他、食品メーカーでは、鮮度を保つために保存容器に工夫を施したり、通常は大容量で販売している商品を個包装にしたりなどの対策も行われています。



フードロス(食品ロス)対策の最新情報を効率的に得る方法

フードロスへの理解を深めるためには、インターネットで検索するだけでなく、食品業界の方が集まる展示会に来場する方法もあります。フードロスの最新情報を知りたい方や、より現場に近い情報を得たい方は、ぜひ「フードテックジャパン」にご来場ください。

フードテックジャパンとは、食品製造に関する最新設備やソリューションが一堂に出展する展示会です。様々な食品メーカーが参加しており、食品関連企業の方が多数来場するので、食品業界の「生きた情報」が得られます。

出展企業のなかにはフードロス対策や生産管理に特化した企業も含まれており、フードロス対策製品の展示が行われます。フードロス削減に関する講演が開催されたり、フードロス対策製品の比較を行ったりできるのも利点です。

フードテックジャパンの開催日時は以下のとおりです。

WEBで来場登録を行うと無料で入場できます。出展者によるセミナーは、来場者であれば事前の申し込み不要で聴講可能です。

なお、「フードテックジャパン」は来場するだけではなく、出展者側としての参加も受け付けています。

出展者側で参加すると、食品業界の方々が集まる場で自社製品のアピールが可能です。商談も積極的に行われており、過去に開催された展示会参加者からは「具体的な商談の実現・リード案件獲得につながった」「事業の新規開拓につながった」などの声をいただいています。

フードロスへの理解を深めたい方が来場する、そして、販路拡大などを目指す企業が出展することもメリットがある展示会なので、食品業界に関わる方はぜひ参加をご検討ください。

フードテックジャパンの詳細は以下のとおりです。

■フードテックジャパン
 「フードテックジャパン大阪」詳細はこちら
 「フードテックジャパン東京」詳細はこちら

 



フードロス(食品ロス)の最新情報を知って、具体的な対策に取り組もう  

フードロス(食品ロス)とは、本来食べられる食品を廃棄することです。フードロスの増加は、貧困や食糧不足、環境問題にも関わるため、日本を含めた世界中で問題意識が持たれています。

日本では食品ロス削減推進法に基づく基本方針が閣議決定されており、今後もフードロス対策への関心は高まっていくでしょう。

企業でフードロス対策を実践するには、間接的な知識を得るだけではなく、実際に活用できる具体的な対策を知ることや、取り組みの内容を理解することが重要です。

フードロスに関する情報収集を行いたいなら、食品製造に関する様々な情報が集まる展示会への参加も検討しましょう。

フードテックジャパンの詳細は以下のとおりです。

■フードテックジャパン大阪

■フードテックジャパン東京



▶監修:廣澤 克美(ひろさわ かつみ)

食品ロスマイスタ講師

暮らしの実用書作家(ペンネーム/広沢かつみ)国内・国外にて多数出版。日本専門家検定協会代表理事として食品ロスの啓蒙に努める。2016年度より札幌市環境局ゴミ削減・食品ロス監修。わかりやすい食品ロスや家庭で出来る取り組みなどの講演が好評で各組織団体やJA会員会合などに招聘されている。




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